テレビ朝日系特撮ドラマ「仮面ライダーギーツ」(日曜午前9時)に出演中の新人俳優佐藤瑠雅(りゅうが=21)をインタビューした。演技未経験ながら、なぜ俳優オーディションを勝ち抜けたのか。自己分析してもらった。

選考期間中、審査員の前で見せた芝居が人生初の演技だったという佐藤。いわば目の肥えたプロの前でぶっつけ本番。経験者であろうライバルたちに囲まれ、想像するだけで尻込みしてしまいそうな状況だが、オーディション突破の理由を考えてもらうと、意外にも「結構あるんです」とポイントを明かす。

芝居経験ゼロのため、選考では人間性のアピールに振り切り「やっぱり演技では勝てないので、明るく接しようと。まずは自分のことを知ってもらおうと思いました」。むっつりとした表情の審査員を笑わせることを目標とし「オーディションの最中に、1回でいいからこの人を笑わせてやろうと思って。そういう心がけでオーディションを受けました。結果、笑わせることができたので、その日は満足して帰りました」と笑顔で振り返る。どんなやりとりがあったのかを聞くと「『もし女の子になったら何をしたいか』と質問されて。まじめな場なんですけど、え、お風呂じゃないんですか? って即答したんです。そしたら無愛想な方もめちゃめちゃ笑ってました(笑い)」。

自然体に見えたことも、合格の一因と考えている。オーディションでは生の演技を初めて目の当たりし、その迫力に「すげえ…ってポロッと言っちゃって。『君、やりに来てるんだからね?』って言われました」と苦笑する。佐藤の発言はしばらくスタッフの間で話のたねになり、会うたびに話題にされたという。緊張してはいたが、ほどよく力が抜けて見えたようで「『あんまり緊張してないね』と言われて。それが良かったんだなと思いました」。

結果として、佐藤は仮面ライダータイクーンに変身する大学生・桜井景和役に決まる。クールで物語序盤からアクションもこなす主人公・浮世英寿/ギーツ(簡秀吉)とは対照的に、景和はお人よしで戦闘もおぼつかない。困った人を放っておけない役どころで、役柄のイメージがオーディションで見せた自分にはまったのではと分析する。佐藤は「本当に運が良かった。これがクール系のライダーだったら、多分僕、速攻で落とされてるので」と笑う。

イメージに合った役柄があることは「運が良かった」と言えるかもしれないが、初の俳優オーディションでなかなかの度胸。自分を俯瞰(ふかん)する冷静さもあり、役者としての資質を見抜かれたのだろう。【遠藤尚子】