俳優として映画界にもインパクトを残す。King Gnu井口理(29)が28日、都内で東京国際映画祭Nippon Cinema Nowに正式出品された、映画「ひとりぼっちじゃない」(伊藤ちひろ監督、23年春公開予定)の舞台あいさつとQ&Aに登壇した。映画初主演で、不器用で繊細な歯科医ススメを演じ「役と向き合うってこういうことかな。スタートを切れたんじゃないかな」と俳優業にも自信をのぞかせた。

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デビューから音楽シーンにインパクトを残し続ける井口も人生初の映画舞台あいさつには緊張した面持ちだった。「こういう場に立つ日が来るとは思っていなかったので、高まっています」とあいさつした。

「恥ずかしくて」と、メガネをせずに登壇。それでも「お客さんのぼんやりとうれしそうな顔が伝わってきます。こんな感じなんですね~、舞台あいさつって」と観客を和ませた。

撮影は昨年9月、およそ2週間という短さで行われた。伊藤監督とロケハンにまわり、原作の同名小説が日記形式であることから、撮影前は日記を書いた。「普段は自分の言葉を表すことがないので、ススメとリンクした感じです」。独り言が多い自身の癖も役作りに生かした。「内面の偏屈な部分が出るシーンは、僕も今日移動中、口ずさんでいたみたいだし、取り入れてみました」と明かした。

これまでも映画に出演していたが「向いていない」と思っていたという井口は、今作で自信をつけた。「普段は歌う人間なんですけど、普段やっている歌で得てきたものを映画に生かして、映画で得たものを歌に還元できるんじゃないかなと思います。やっとスタートをきれたんじゃないかな」と笑った。

共演した馬場ふみか(27)から「ひとつのシーン、セリフに向き合っている姿に私もこうあらねばと思いました」。河合優実(21)からも「本当に真剣」とべた褒めされ「あんまりそんなイメージないんだからやめてよ! 好感度上がっちゃうよ」とうれしい悲鳴を上げた。King Gnuとしては来月、東京ドーム公演も控えている。歌手に、俳優に、アーティストとして活躍の場がますます広がる。【加藤理沙】

◆井口理(いぐち・さとる) 1993年(平5)10月5日生まれ、長野県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒。King Gnuのボーカルとキーボードを担当。19年「白日」はストリーミング再生5億回を突破。俳優としては20年に映画「劇場」(行定勲監督)「佐々木、イン、マイマイン」(内山拓也監督)、ドラマ「MIU404」などに出演。21年にYouTubeドラマ「GOSSIP BOX」で主演をつとめた。