落語家三遊亭とむ(38)が6日、東京・目白の椿山荘で会見して、来年7月1日に真打ち昇進、錦笑亭満堂と改名することを発表した。来年7月から真打ち披露のツアーを全国で行い、再来年1月24日には東京・九段の日本武道館で真打ち昇進披露興行を行う。

とむは黒紋付き、はかま姿で師匠の三遊亭好楽(76)とともに登壇。来年7月の真打ち昇進を発表した後、好楽が「高座名を変えます。三遊亭とか、桂、古今亭とかいう亭号は全く入ってない」と錦笑亭満堂と書かれた札を掲げた。とむは「えっ! 見たこともない文字です」と驚いた様子を見せながらも「ありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。

好楽は「満堂は中国でとてもいい言葉。満員の会場のこと。錦は金。つまり満員の会場を最高の笑いで包むということです」と説明。「彼の本名の末高(斗夢)と同様に、年をとると良くなる名前です。命名したのは春風亭小朝師匠です」と説明した。

とむは末高斗夢の名前でピン芸人として12年ほど活動。行き詰まった時に春風亭小朝(67)に「落語家になりたい」と相談して好楽を紹介され、2011年(平23)に入門した。

好楽は「小朝さんから言われて、二つ返事で承知した。縁があったのか、かわいくてしょうがない。最初は『えっ』という名前だけど、これが慣れてくると『満堂師匠』という名前がいろいろな人から出てくる。この名前は、私が気に入っている。びっくりしたろう」。とむは「はい!」と大きな声で答えて「2段上くらい飛び上がった。この名に恥じない様に頑張ります」と話した。

とむはMBSラジオ「ヤングタウン日曜日」(日洋午後10時)にレギュラー出演。パーソナリティーの笑福亭鶴瓶(70)にもかわいがられている。好楽は「鶴瓶師匠にもさっき電話を入れました。留守電になっていたけど、驚くと思う」。

とむは「(宙乗りの)スーパー落語とか日本武道館とか、人のやらないものをやりたい。とにかくしっかり精進して、まずは日本武道館で、師匠を奇想天外なものでびっくりさせたい。これをきっかけに、もっと師匠を喜ばせることができるようになりたい」。家族や友人たちの反応については「大丈夫? とみんな心配してくれているけど、喜んでいます」と話した。

好楽は、とむの長所について「あらゆる分野の人に好かれる。それも才能なんです。うちの死んだかみさんも『あの子は天真らんまんで、弟子と思ったらダメ。自分の子として育てなさい』と言われた。短所はいっぱいあります」と笑った。

そして「うさぎと亀のうさぎじゃダメ、亀で行け。じっくりと時間をかけて、芸をしっかりとしろ。私だって76歳で、まだ勉強だ。その昔、国立劇場の楽屋で(6代目三遊亭)円生と(8代目林家)正蔵が『いつ私たちは名人と言われるようになるかね』と言ってるのを1人で聞いちゃった」と昭和の大名人の秘話を披露。「常に素直で謙虚に、それで芸に厳しく向かっていけ」と言葉を贈った。