俳優志垣太郎さんが今年3月、急な体調不良による心不全で、70歳で亡くなっていたことを受け、俳優森田健作(72)が7日、仲間の死を悼んだ。志垣さんは69年に舞台デビュー。71年には連続ドラマ「おれは男だ!」で、森田演じる主人公のライバル役を演じて人気を博した。

森田は訃報は全く知らなかったという。「今朝、友人から電話で知らされて本当に驚いているところです。3月だということですよね」。

「僕は彼のことを、いつも志垣ちゃんと呼んでいたのですが、もう50年前になるね。僕が主演した『おれは男だ!』にライバル役で出演したのが出会いのキッカケでしたね。その時、志垣ちゃんはドラマの途中から転校生役で登場してきました。その最初の撮影の時だったのですが、照明のライトが僕の頭に落ちてきてケガをしてしまったのです。それで撮影を休んでいたのですが、その時に初めて登場したのが志垣ちゃんだったんです。そう言った意味では忘れられない出会いになりました」と振り返った。

さらに「僕がドラマに出られずに現場は混乱していたようなのですが、志垣ちゃんは一生懸命熱演してくれてね。とにかく僕としては彼に助けられたっていう思い出があるんですよ。事情はどうであれ、僕としてはドラマの撮影にアナを開けちゃっているわけですからね、つらかったのですよ。それが志垣ちゃんのおかげでドラマもいい形に進んだわけですから、本当に感謝したんですよ」。

2人はそんな縁もあり、ドラマ終了後も交流があったという。「情報番組だったのですが、僕が持っていたコーナーに志垣ちゃんに出演してもらったことがあったのです。その時は釣り堀トークなんかをしたりして楽しかったですね。その他にも、旅番組に早瀬久美さんと3人で出演したことなんかもありましたね」。

志垣さんの魅力については「とにかく、僕とは違った明るさがあることです。面白いこと、あるいは楽しいことばかり言って笑わせてくれました」。

森田は09年に千葉県知事となり、その後は、会う機会はなかったという。

「今回の訃報を聞いて、20代のニヒルなキャラクターからずいぶん変わったな、なんて話したこともありました。改めて思うのは、志垣ちゃんの屈託のない笑顔が忘れられないですね。さっきも言ったけど、彼は、いつも明るくていいキャラクターでした。まだまだ役者としていろんな役をやりたかっただろうしね。僕も、今は以前の俳優に戻りましたが、かつての仲間として、また同志として本当に残念という言葉しか見つかりません。僕は今でも映画を作りたいという夢がありますが、その気持ちは志垣ちゃんも同じだったはずです。ですから、それが実現したとき、昔の仲間を呼んで一緒に出来たのかもしれませんね。お悔やみを申し上げます」と悼んだ。