元光GENJIで俳優の大沢樹生(53)が、「引退試合」となる格闘技5戦目(4戦目はエキシビション)に挑み、初勝利とならずも、試合後は笑顔でリングを降りた。総合格闘技RIZINのスポンサーなどを務めるYogiboの木村誠司社長と対戦(2分×2回)。ダウンこそ奪われなかったが、判定負けを喫した。

来年4月に東京・北区の区長選に出馬するため、ファイターとして最後の試合。芸能活動が忙しくなり、練習がほとんどできなかったという。それでもリングアナを務めた元雨上がり決死隊の宮迫博之のコールで気合を入れ、表情を引き締めた。「対策はない。当たって砕けるだけ」と真っ向勝負でぶつかっていった。相手は大応援団を従え、セコンドには格闘家のYA-MANも駆けつけていた。完全アウェーの中、序盤から猛攻を受け劣勢に。それでも倒れず、何度もパンチを出し続け、最後までリングに立ち続けた。

試合後には観戦に訪れていたデヴィ夫人が花束を持って登壇する一幕も。ねぎらわれるかと思いきや「あなた、負けると分かっていたわよ。あなたには向いてません。歌と踊りの世界に戻りなさい」。まさかのダメ出しに大沢も苦笑い。会場は爆笑に包まれ、華やかな最後のリングとなった。

大沢は、昨年4月に知人のセコンドに付いたことが縁で自ら参戦を希望。初戦の極真空手黒帯の俳優木下ほうかはじめ、格上の相手に次々と敗戦。甘くない格闘技の世界に打ちのめされるかと思われたが、アイドル時代から数々の修羅場を乗り越えてきたガラスの50代は「次も戦いたい」と不屈の精神で何度も立ち上がり、挑戦を続けた。

今後は舞台を政治の世界に移す。北区を舞台にした主演映画「サムアップ!」をきっかけに区民と話す機会が増え「区民の声を直接聞いて経済を立て直したい」と思うようになり、出馬を決断。いずれは「(家族を置いて)自分1人でも北区に移住する」と格闘技同様、思いは熱い。「来年また新しい挑戦をします」と力強く誓った。

「勝っても負けても、その生きざまを見てもらいたい」とリングに上がった大沢。勝ち名乗りを受けることはできなかったが、今度は区民の前で自らの生きざまをぶつけ、格闘技でかなわなかった勝利をつかみ取る。【松熊洋介】