受賞作と受賞作品を発表した、日刊スポーツ公式YouTubeチャンネルで昨年12月27日に配信した特別番組および、同28日付紙面とニッカンスポーツ・コムで紹介しきれなかった受賞者の方々のコメントも入れた、インタビューのロングバージョンをあらためて掲載します。

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なにわ男子の道枝駿佑(20)が、石原裕次郎新人賞に輝いた。主演映画「今夜、世界からこの恋が消えても」(三木孝浩監督)で、ファンが選ぶ最高作品賞・最高演技賞との“3冠”を達成した。ジャニーズの若手注目株が、次世代のスター街道まっしぐらだ。

受賞はマネジャーから突然伝えられた。「いきなり『おめでとうございます!』って言われて。そしたら、石原裕次郎新人賞って。びっくりしました」と笑顔で明かした。「初主演映画でこういう賞をいただけるのが本当にうれしいですし、この作品に出会えてよかったなと思います。日々支えてくださったスタッフさん、共演者の方々、皆さんのおかげというのを、重く感じています」と感謝した。

「主演としては探り探りの日々でしたが、やっぱりしっかりしないとって思いも、プレッシャーもありました。福本(莉子)さんだったり、古川(琴音)さんだったり、たくさんの方からたくさんの刺激をもらった現場でした。現場で僕が最年少でしたし、毎日学ぶ部分が多くて、自分の足りない部分も感じた日々でした」

劇中では心優しい高校生、神谷透を演じた。「料理ができるというところ以外は、ちょっと僕と似てるところもあるのかな。でも、だからこそ難しかったです。つかめそうでつかめない感じで、近い分逆に大丈夫なのかと」と分析した。役作りは「撮影が進むにつれて少しずつつかんでいけたと思います。考えすぎないようにしてましたね。考えすぎると頭が固くなってパパッと動けなくなっちゃうタイプなので」と振り返った。

ダブル主演の福本莉子(22)とともに、記憶をテーマにしたはかない青春ラブストーリー。「僕の性格上、うまく流れに乗ることができて、直感でそのままいけたと思うのが、花火大会のシーンです。福本さん演じる真織の涙をぬぐって、励ましの言葉を掛けるところは、考えすぎずにできました」と話した。ヤマ場のシーンで、勝負強さを発揮した。

一方で苦戦したのは、萩原聖人(51)演じる父親に感情をぶつける場面だという。「お父さんに対して思っていたことが、あふれるシーンで、もっとシンプルにやればよかったんですけど、いろいろと気持ちを作りすぎちゃって。反省しました」と謙虚に振り返った。

ファンが選ぶ最高作品賞・最高演技賞も受賞。高い人気を兼ね備える。選考会では、裕次郎さんのようにスクリーン上で輝くスター性や将来性も評価された。

ジャニーズ事務所所属タレントでは94年の木村拓哉、02年の長瀬智也(当時)、06年の岡田准一に続き16年ぶり4人目の石原裕次郎新人賞受賞。「すごい諸先輩方がたくさんいるので、僕もその背中を見て、アイドルとしても俳優としても後輩たちから憧れるような存在になりたいです」と力を込めた。

特に、幼少期から大ファンだった木村に対しては特別な思いがある。「憧れの先輩と同じ賞をいただいたのは縁を感じますし、本当にありがたいです。木村さんはカリスマ性とスター性を兼ね備えている、まさにスターですから」と感慨を込めた。

木村が同賞受賞時に22歳だったことを踏まえ、「木村さんはその後、23歳で『ロンバケ(ロングバケーション)』ですもんね…!」と先輩のすごみをあらためて実感した様子。「20代、僕もできる役の幅も広がっていくと思うので、どんな自分と出会えるのか楽しみです。演技を自分の武器にできるようにもっと勉強します」と意気込んだ。

昨年は4月期の日本テレビ系ドラマ「金田一少年の事件簿」に主演。体力的にもハードな日々を送ったが、「松本潤くんが、1話見た後に『自信持って頑張ってね』って言ってくださって。すごくうれしかったです」と『金田一』の先輩に感謝した。

ソロでもグループでも活躍した。同11月にデビュー1周年を迎えたなにわ男子としても、大みそかの「NHK紅白歌合戦」に初出場した。「この1年、本当に今までで濃いんじゃないかってぐらい濃かったです。『セカコイ』の撮影があって、『金田一』があって、『セカコイ』のプロモーションに入って、6月とか7月ぐらいからツアーの準備があって、ツアーに入って…。怒濤(どとう)でしたね」と回想した。

「だからこそ、2023年はもっとすごい1年にしたいです。個人でも、グループ7人でも、走っていきたいですね。1つの同じ方向を向いて、2年目も突っ走っていきたいなと思います」

飽くなき向上心のかたまり。“3冠”すらスター街道の序章に過ぎないのかもしれない。【横山慧】

◆道枝駿佑(みちえだ・しゅんすけ)2002年(平14)7月25日、大阪府生まれ。14年11月ジャニーズ事務所入り。昨年11月になにわ男子として「初心LOVE」でCDデビュー。同12月公開の映画「99・9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」に出演。愛称「みっちー」。179センチ。血液型O。

◆今夜、世界からこの恋が消えても 眠ると記憶を失う「前向性健忘」を患った女子高生・日野真織(福本莉子)と、真織を献身的に支えながら自身も秘密を隠す同級生・神谷透(道枝)。1日限りの恋を積み重ねる日々が消えてしまう時のため、透はある作戦を立てた。

◆石原裕次郎新人賞 1987年(昭62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原音楽出版が運営に全面協力している。裕次郎さんを、ほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られる。賞金100万円。