真木よう子(40)が、映画「アンダーカレント」(今秋公開)で18年「焼肉ドラゴン」以来5年ぶりに映画に主演することが15日、分かった。2004年(平16)8月から「月刊アフタヌーン」(講談社)で1年、連載された、豊田徹也氏唯一の長編漫画を、05年11月に単行本化から約18年の時を経て実写映画化した。

真木は今作で、19年「愛がなんだ」から最新作「ちひろさん」まで、この4年で10本の監督作が公開と今、最も次回作が待たれる今泉力哉監督(42)と初タッグを組んだ。「撮影期間中、ショックのあまり気を失った初めての作品」と、女優人生屈指の作品であると示唆した。

「アンダーカレント」は「まるで1本の映画を見ているようだ」と国内外で反響を呼び、10年に“漫画界のカンヌ映画祭”フランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出。20年には、同国の放送局フランス・アンフォ選の「2000年以降の絶対に読むべき漫画100選」で3位に入った。

真木は「原作をかなり前に読んでいて、この作品を映画で表現できたらと思うことがあり、まさか本当に映画化され、自分にオファーをいただけるとは驚きました。大好きな原作だったので、断る理由がありませんでした」と主演を即決した。

劇中では、家業の銭湯を継ぎ、順風満帆な日々を送っていた中、突然、夫が失踪してしまう、かなえを演じた。背中から水に飛び込むシーンは、原作の書影を完全再現する質の高いものとなったが、一方で「私は、しばしば役に入り込むあまり、撮影期間中はかなりつらかったことを覚えています」と振り返った。

初タッグを組んだ今泉監督についても「今泉さんは、彼の中でもう既に絵を描いているタイプの監督なので、そのような方には信頼し、全てお任せするようにしています」と絶対の信頼を寄せた。「普段は監督と相談したりなどしますが、今回それはしないようにしました」とも語った。 

一方、今泉監督も「真木よう子さんとご一緒できたこと、とても光栄でした。真木さんは、かなえを演じるにあたって、日々、真剣に、深く、そこにいてくれました」と真木との初タッグを喜んだ。その上で、撮影を振り返り「銭湯での撮影時に、私が現場で脚本を手にして迷っていると、誰かが背後から私の肩にふっと手を置いて励ましてくれて。振り返ると、それは真木さんの手でした。なんと心強かったことか」と真木に感謝した。

真木は「どうか映画館にて見届けていただけたら幸いです」と、映画館で作品を見て欲しいと呼びかけた。今泉監督も「きっと真木さんにしか演じ得ない、かなえがこの映画には写っています。本当にこの映画が必要な人に、その悩みを知る人に、この映画が届きますように」と、1人でも多くの人と、作品が出会うことを切に願った。

 

◆「アンダーカレント」かなえ(真木)は家業の銭湯を継ぎ、順風満帆な日々を送っていたが突然、夫の悟が失踪する。途方に暮れながらも、一時休業していた銭湯を再開させた数日後、銭湯組合の紹介を通じ、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやって来て、住み込みで働くことになる。不思議な共同生活が始まった中、友人から紹介された、うさんくさい探偵・山崎と悟を捜しつつも、かなえは堀と過ごす心地よい時間の中で穏やかな日常を取り戻しつつあったが、あることをきっかけに心の深層が徐々に浮かび上がっていく。