歌手の葵かを里が16日、大阪市北区の日刊スポーツを訪れ、新曲「吉野 千本桜」(3月1日から発売中)をPRした。

奈良県の桜の名所、ひと目で1000本見えるほど山々を埋め尽くす吉野山を舞台に、愛し合う2人の悲しい別れを描いている。

きっかけは7年前。初めて千本桜を見た際に「いつか歌にしたい」と感じていた。また、来年で歌手デビューから20周年になる集大成として、歴史上の人物で踊りの名手とされる「静御前」を主人公に早く歌いたいという気持ちも芽生えていた。「吉野山に静御前の歴史の物語がある」と知り、偶然が重なって出来上がったことに「願ってもない組み合わせ。私にとって貴重な映像作品が撮れた」と喜んだ。

さらに、源義経と静御前が最期の時を過ごした「潜居の間」で踊れたことにも「静御前が乗り移りました。今まで撮影していたものとは全然感じ方が違う、舞い降りるような空気感があった」と話した。

2月1日から奈良県吉野町観光大使にも就任しており、新曲の発売日に合わせて吉野町役場にて委嘱式、世界遺産である吉水神社(「吉」の正確な表記は「土」の下に「口」)にて奉納歌唱を行った。ファンにも見守られるなかでの新曲披露となったが「歴史をちょっとだけひもといてから聞いたり歌ったりすると、感じ方がガラッと変わると思う。歴史に翻弄(ほんろう)された主人公になったつもりで時代背景を考えると、おのずと情景がみえてくる」とポイントを語った。

また、カップリング曲には「明日への虹」を収録。ペンネーム「茶野香」(=葵かを里)としての作曲第3弾となったこの曲は、あえてワルツを使った。生きていくのも大変な時代に、地に足をつけてしっかりと歌うことを心がけて「人それぞれの人生、良い日も有ればそうでない日もあるが、空を見上げて虹を見れば前向きになれる。心に虹を!明日への虹を!」という思いが込められた人生の応援歌となっている。