歌舞伎俳優松本幸四郎(50)が27日、大阪市内のホテルで、大阪松竹座開場100周年記念「関西・歌舞伎を愛する会 第31回七月大歌舞伎」(7月3~25日)の取材会を開いた。

幸四郎は昼の部で「沼津」「俊寛」、夜の部は「吉原狐」で三五郎に臨む。

「吉原狐」には、長男市川染五郎(18)も出演。大阪の歌舞伎拠点でもある大阪松竹座には初お目見えになる。染五郎は、前回上演の06年当時に幸四郎が演じた同じ役に臨む。

これに、父の幸四郎は「前回の上演では格好のいい先代の染五郎が同じ役をやっていた。前回やっていた格好いい人、そこを目指してもらいたい」。自画自賛? のジョークをまじえて、息子の松竹座初登場へ、はっぱをかけた。

歌舞伎界は、世代交代が進み、同演目では中村米吉(30)が表題役でもあるおきちにふんし、中村虎之介(25)も共演するなど、若手も多く出演する。

幸四郎は「比較的にこの世代、近い年齢が多いので、それぞれが抜け出してほしい。とにかく当たって砕けろ、自分の限界をなるべく遠ざけられるように」などとエール。年齢を重ねて円熟味を増す面もある歌舞伎役者だが、その世界の活性化への期待もこめた。

また、今公演は、大阪での花形歌舞伎として、毎年7月に上演され、6月下旬に道頓堀川を船で渡る「船乗り込み」も夏の大阪の恒例行事。昨年、コロナ禍ながらに3年ぶりに開催され、幸四郎は「(松竹の)決断にどれだけうれしかったか-。感激しまして、涙をこらえるのに必死でした」と振り返った。

今年は「まあ、堂々とごあいさつできるというか、船に乗り込める」と晴れやかな笑顔で話していた。