英王室を離脱して2020年に米カリフォルニア州に移住したヘンリー王子(38)の過去の薬物使用を巡り、米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が入国記録の開示を求めて起こした訴訟で、6日に米ワシントンD.C.の連邦裁判所で審理が始まり、判事が国土安全保障省に13日までに対応するよう命じた。

王子が今年1月に出版した回顧録「スペア」の中で過去の薬物使用を認めたことを受け、同財団は情報公開法に基づいてビザ取得に際して薬物使用歴を申告したのか情報を開示するよう求めていた。同財団は「公益性がある」としているが、国土安全保障省の一部門である税関・国境警備局は王子の同意が得られていないことを理由に開示を拒否したと伝えられている。審理には数週間かかる可能性があるという。

米国の移民法ではビザ申請者に対して過去の薬物使用を理由に入国管理官が申請を退けることも可能で、ビザ申請書には薬物に関する質問事項もある。

妻のメーガン妃は米国市民だが、王子がどのようなビザを取得して米国に滞在しているのかは分かっていない。王子は「スペア」の中で、17歳の時にコカインを使用したと明かしているほか、大麻やマジックマッシュルームなどの使用に関する記述もある。

ヘンリー王子は6日、英ロンドンで始まった盗聴疑惑を巡って英タブロイド紙の出版元を提訴した裁判に出廷し、王室メンバーとしては約130年ぶりに法廷に立ったことで注目を集めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)