盗聴など違法な情報収集があったとして英デイリー・ミラー紙などの発行元を訴えた裁判で証言するため帰国していた英国のヘンリー王子(38)が9日、家族が待つ米国に戻ったことが分かった。英テレグラフ紙などのよると、6日から2日間にわたって法廷で証言するため5日にロンドン入りした王子は、父チャールズ国王や兄ウィリアム皇太子ら家族と会うことなく8日の午後に帰途に就いたという。

5月6日に行われたチャールズ国王の戴冠式では英国滞在時間がわずか28時間ほどだった王子は、今回も証人尋問が終了した翌日に早々とロンドンを出発しており、最短3泊の滞在となった。確執が取り沙汰される家族と今回も直接対面する機会はなかったとみられ、直近に再帰国の予定はないことから関係修復の可能性は遠のいている。

王子は5月の帰国に続き、今回も国王から1月に退去を命じられたウィンザー城の敷地内にあるフロッグモア・コテージに滞在していたという。ヘンリー王子夫妻は、国王が進める「王室のスリム化」によってフロッグモア・コテージを初夏までに明け渡すよう求められており、警備が付くフロッグモア・コテージに滞在できるのもこれが最後になるだろうと英テレグラフ紙は伝えている。国王は、未成年への性的暴行疑惑で公務を退いた弟アンドルー王子にフロッグモア・コテージへの転居を提案している。

王室の上級メンバーとして約130年ぶりに証言台に立った王子は、55ページに及ぶ陳述書を提出。元恋人との関係や過去のストリップクラブでの遊びなどについても証言し、「人間関係に多大な被害妄想を引き起こした」とメディアを非難。2日目の終盤には涙を見せるような場面があったほか、厳しい反対尋問に言葉を詰まらせ、「分からない」と何度も答えたことなども伝えられている。審理は今後数週間続く見通し。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)