山田洋次監督(91)が脚本、演出を手がけ、中村獅童(50)寺島しのぶ(50)が出演する「文七元結物語」の制作会見が11日、都内で行われた。「錦秋十月大歌舞伎」(同2~25日、東京・歌舞伎座)で上演される。
「文七元結」は落語家三遊亭圓朝が口演した人情噺。歌舞伎でも1902年(明35)初演以来の人気作。山田監督はこれまで「人情噺文七元結」の脚本補綴(ほてつ)やシネマ歌舞伎の監督も手がけており、「『文七元結』は優れたストーリーで、人間の善意について語った物語。そのテーマ、核心をきちんと握って、新しくて文七の精神をきちんと守ったヒューマンな物語(になる)」と、新しい文七元結になるとした。
初めて夫婦を演じる獅童と寺島について、山田監督は「もう1回『文七-』をやるなら主役を誰にするか。松竹との話し合いの中で自然に(獅童の)名前が挙がってきた。すぐにおもしろい、いいなあと思いました。獅童さんといろんな話をする中で、寺島しのぶさんと仲が良くけんか友達のようだったと聞いた」と経緯を語った。
獅童は「『文七-』への監督の思いを聞く中で、女優さんが出るのも1つの手かもしれませんということで、しのぶさんの名前を挙げさせていただいた。監督もそうなったら最高だね、と。新たな文七を作りたいという監督の思いを聞いて、自分も微力ながらチャレンジしたいと思いました」と話し「獅童としのぶのお芝居見て良かった、という気持ちになってほしい。義理人情は歌舞伎の中では生きている。それを感じていただきたい」とした。
寺島は「一生懸命没入して、お客さんに来て良かったと言っていただけたら。チラシも出来上がり、ポスターも出来上がり、周りから攻められてきました。覚悟はあります」と意気込みを語った。
主人公の左官長兵衛は、寺島の父尾上菊五郎や、12年に亡くなった中村勘三郎さんの当たり役として知られる。初役の獅童について山田監督は「僕はぴったりだと思ってる。どの人にもない長兵衛ができると確信しています」と期待を寄せ、寺島も「父は『あいつはそのままやりゃあいいんだよ』と言ってました」と話した。
獅童と寺島は、普段も仲がいいというだけに丁々発止のやりとりで笑わせ、獅童は「楽日にはしのぶさんとおいしいビールを飲みたい」と笑みを見せた。
物語は、左官長兵衛と女房お兼が貧乏暮らしをする中、娘お久が吉原に身売りをする。長兵衛は娘が身売りしてつくった50両を懐に帰り道につくが、橋から身投げしようとする若い男に出くわす。長兵衛のとった行動は-。



