「愛は勝つ」のヒット曲で知られるシンガー・ソングライターのKANさん（本名・木村和＝きむら・かん）が死去したことが17日、分かった。61歳。公式サイトが正式に発表した。

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KANさんのバックボーンは、ビートルズと米歌手ビリー・ジョエルにある。幼少からピアノを学び、中学でビートルズと出会い、コピーバンド「ザ・ミートルズ」を結成した。ビリー・ジョエルにも傾倒した。81年に法大に合格して上京するや、すぐにビリー・ジョエルの日本公演のチケットを購入した。その音楽性に心酔し、「愛は勝つ」が生まれたという。

「愛は勝つ」は2パターンのコード進行を繰り返しながら、転調によって心地よいメロディーになっているのが特徴。「心配ないからね」と語り掛けるシンプルな歌詞はポジティブで、老若男女の心に響く作品になっている。

11年3月に東日本大震災が起きると、KANさんが所属するアップフロントグループで、すぐに「がんばろうニッポン　愛は勝つ」プロジェクトを立ち上げた。堀内孝雄が音頭を取り、つんく♂、森高千里、モーニング娘。ら131人の所属アーティストが、KANさんのピアノ演奏で「愛は勝つ」を合唱。配信などの売り上げを寄付した。

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めた20年には、同グループ所属121人が医療従事者らを勇気づけようと「愛は勝つ」をリモートで合唱した。KANさんはこの時は天使の姿でピアノを演奏した。

KANイコール「愛は勝つ」と思われることを好まなかったが、KANさんが残してくれた日本歌謡史に残る財産である。