サザンオールスターズ桑田佳祐、シンガー・ソングライター松任谷由実が初めてデュエットしたコラボシングル「Kissin' Christmas(クリスマスだからじゃない)2023」が、12月20日に発売される。

松任谷作詞、桑田作曲で37年前に制作された楽曲をアレンジ、リメークした楽曲で、「桑田佳祐&松任谷由実」名義でのリリースは初めてという。意外だった。

18年のNHK紅白歌合戦での共演シーンが強烈に印象に残っていることもあって、初タッグ、初デュエットというイメージがなかった。当時の紅白、画面越しながらも何だかすごいことが起こっていることが分かった。

サザンオールスターズは最終歌唱者として登場して、桑田が「希望の轍」「勝手にシンドバッド」の2曲を歌った。「勝手にシンドバッド」では「胸さわぎの腰つき~」と歌いながら「サブちゃん!」と北島三郎に呼びかけると、北島はじめ出演者全員がステージに登場した。

さらにユーミンが踊りながら桑田に近づくと、桑田は「胸さわぎの腰つき~」と歌いながら、何度もユーミンの肩や腰を抱き寄せた。「ラララララユーミンさん」「ラララララ桑田君」と歌い合い、ユーミンが桑田のほおに口づけると、会場の盛り上がりが最高潮になっていた。ドキドキ、ヒヤヒヤ、いろんな気持ちを味わったことを覚えている。

紅白共演後、19年にユーミンがサザンの東京ドーム公演をおしのびで訪れるなど交流が続いていたのだという。今回のタッグのきっかけは21年秋、ユーミンが声をかけたことだったという。手紙も書いたのだという。

紅白が大きなきっかけになったのだろうが、そのきっかけを2人が大切に温め続けていたのだなと思い、そして今回のような明るい話につながるのであれば、すばらしいなと思った。

「Kissin'-」は、桑田が企画し86~87年に日本テレビ系で放送された特別音楽番組「メリー・クリスマス・ショー」のために制作された。作詞をユーミン、作曲を桑田が手がけたが、当時、2人での歌唱はしておらず、初デュエットになった。

明るく希望に満ちた原曲の世界観をそのままに、リメークした新バージョン。ユーミンの「恋人はサンタクロース」、桑田の「波乗りジョニー」を互いに歌い合う部分もあり、おしゃれで、リスペクトし合った楽曲となった。

楽曲制作を前に、2人でじっくり話し合ったことでテーマが決まっていったようだ。世界各地で続く争いを憂う気持ち、楽曲の収益の一部はセーブ・ザ・チルドレンに寄付されることにも、2人の気持ちがこもっている。【小林千穂】