女優の詩歩(29)が極め付きのホラー映画で怪演している。

2月16日に亡くなった映画プロデューサーの叶井俊太郎さんが宣伝を担当した「悪魔がはらわたでいけにえで私」(23日公開)で、メガホンは世界のインディペンデント系映画祭で注目を集める異才、宇賀那健一監督(39)だ。

「監督とは4年前に『魔法少年★ワイルドバージン』という映画に出させていただいて以来の縁なんですけど、互いに大好きなホラーの世界で思いっきりやってみたいねという勢いで作ってしまった作品です」

SFやホラーの名作へのオマージュが織り込まれた作品は、怪物と人間が共生する不思議世界を描く。序盤、人間として登場する詩歩は、中盤以降怪物に進化し、分厚い特殊メークで喜怒哀楽を演じ分ける「豪腕」を発揮している。

「何しろ血しぶきが多いので、衣装替えが追いつかない。一発勝負の撮影続きでした。『グレムリン』(84年)を参考にしたんですけど、怪物になってからの感情表現が分かってもらえたら、うれしいです。せっかくの大量の『ドロドロ』が顔にヒットしなかったり、思わず噴き出しちゃう笑いの多い現場でしたけど、まさかここまでハートフルな仕上がりになるとは」

酒造会社に勤めていたが、映画好きが高じて宇賀那監督のワークショップに参加し、この世界に。今回の作品では習字歴6年の腕前を生かして題字も担当。米オースティンや伊トリノの映画祭にも参加した。

「言語のいらない作品なので、皆さんのリアクションも良くて感動しました」

【相原斎】

◆詩歩(しほ) 1994年(平6)5月10日、千葉県生まれ。20年「エ・キ・ス・ト・ラ」、24年「おかしな刑事 最終回」などのドラマにも出演している。