シンガー・ソングライターのmilet(ミレイ=年齢非公表)が20日、横浜アリーナでデビュー5周年記念ライブ「GREEN LIGHTS」を行った。自身初のアリーナ公演で、大阪、横浜の4公演で約3・8万人を動員した。

19年3月6日にデビュー。今回のツアータイトルは、20年に自身初のツアーとして開催予定も、コロナ禍で中止した「Green Lights」から命名した。オープニングで、幻想的なシルエットの中から同曲を歌い始めると、一気に1万人の視線をくぎ付けにした。

「5周年の特別な日に、来てくれてありがとうございます。いつもと違う気持ちで歌っています」と、白一色のパンツスタイルでデビュー曲「inside you」を、アカペラを交えて披露すれば、人気アニメ「『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」のテーマ曲「絆ノ奇跡」「コイコガレ」、「Higher」などを歌い上げた。

デビュー以降、数々のドラマタイアップをはじめ、20年から4年連続でNHK紅白歌合戦に出場中。21年の東京オリンピック(五輪)の閉会式では「愛の讃歌」も歌った。コロナ禍での苦悩もありつつ、順調な音楽人生を歩んできた…ようにみえるが、人知れず葛藤も抱え、時折涙も見せて吐露した。

「誰かが悲しくなるたびに私は『大丈夫』って言って、励ましたくて背中を押したくてずっと歌ってきた。単純に誰かが笑ってくれたり、喜んでくれるのがすごくうれしかった。でも私はどこかで誰かを励ますために、私の『大丈夫』をどこか置いてけぼりにしちゃってて…。大丈夫が、心からはみ出していた。傷ついても、できるだけ痛みが少ないように。いつもすぐ前向いて、ごまかして痛みを薄めたくて、自分のことも無理やり許したりして、笑えないときも笑おうとして泣きたいときも泣かないようにして…。本当は心の底は全然大丈夫じゃないことでいっぱいでも、とにかく歌って、miletはこうあるべきだって、多分自分が一番そう願って、決めつけていたんだろうと思う」

5周年のアニバーサリーライブも、あえて“お祭り”にはせずに、自分と向き合い、ファンの前で不安も悩みも何もかも、ありのままの自分をさらけ出すことに決めた。「GREEN LIGHTSという、見えなかった光が見えてくるかな、見えかけてるなって思った瞬間があったけど、やっぱり見えなかった」と今回のライブを振り返りつつも、「でもね、向き合うスタートは切れたなって思うんです。答えを見つけにいくスタート。私にとっては決意のGREEN LIGHTS。諦めるわけでもなく、歌に、自分に、みんなに正直でありたい。もっとまっすぐでありたいって思いました。もちろん不安はまだまだたくさんあるけど、本当の意味で強くなりたい」。

8月からは、自身では最多となる全国ホールツアー(19都市21公演)も開催する。今回の5周年ライブを、まだまだ続く音楽人生のエポックメーキングにする。「一生の道標になると思う。いや、します! だから、また会おうね」。ファンが放つフリフラ(無線制御型ライト)のグリーンライトが、miletの決意の道筋を、優しく照らしていた。【大友陽平】