歌手松任谷由実(70)がチャリティーCD「acacia[アカシア]/春よ、来い(Nina Kraviz Remix)」を5月29日に発売することが31日、分かった。

石川県の「令和6年能登半島地震」災害からの復興のため、売り上げから経費を差し引いた全額を義援金として寄付。楽曲で“第2の故郷・石川”にエールを送る。

ユーミンと石川県の付き合いは50年超に及ぶ。北陸放送のプロデューサーが無名時代のユーミンの才能を認めてくれ、以来、プライベートを含めて何度も通った。

15年には石川県観光ブランドプロデューサーに就任。3月16日に延伸した北陸新幹線の小松駅と加賀温泉駅の発車メロディーも担当した。同日からは北陸鉄道浅野川線の粟ヶ崎駅~内灘駅間で車内の到着メロディーに「acacia[アカシア]」が使用されている。

ユーミンは「何十年も前のこと。初めて訪れた能登の海岸で、銀色にかがやく群生のアカシアに心を奪われて、acacia[アカシア]という歌を書いた。芳しい雨が降るようだった。この地方との不思議な関係が始まった」と石川県との半世紀に及ぶ関係の始まりに思いを寄せた。そして「わずかな時間を見つけては何度も通い、人に逢った、風景に逢った、文化に逢った。私の大切な部分をかたちづくった。自分にとってこんな場所は、世界中探してもどこにもない」と能登の魅力に言及した。

今回、チャリティーCDを発売することには「チャリティーはどこかふに落ちないところがあって、いままで積極的にはやってこなかった。でも、世の中に受け入れられ、ここまでやって来られたからには、もっと世の中に恩返しすべきと、最近思うようになった。そんな時にこの能登のこと。運命を感じた」と告白。

「歌とともにこころを寄せる。それは想いを運び、人を癒すと信じる。歌をつくり、届ける人間としての信念でもある。もしかしたら自分だったかもしれない。その想像力が、人を人にする。この国に生まれたのならなおのこと。日本のあちこちで、世界の至る所で、ふるさとを無くし悲しみと途方にくれている人々が増え続けている。これからも増えることだろう。『たとえ世の中がどうなろうとも、他者を思いやる気持ちだけは忘れないように』。もう亡くなってしまった、金沢の恩人の言葉。いまの私のために言ってくれた贈り物のように感じる。みんな、繋がっている」とコメントした。