昨年3月に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんが、東日本大震災の復興支援のため、被災地の小学生から大学生を集めて13年に立ち上げた楽団・東北ユースオーケストラが3月31日、都内のサントリーホールで追悼演奏会を開催した。

この日は「ラストエンペラー」からアンコール曲「ETUDE」まで全14曲中、13曲を坂本さんが作曲した楽曲で構成。坂本さんが22年9月中旬に無観客で事前収録し、同12月11日に世界配信した「Ryuichi Sakamoto:Playing the Piano 2022」の映像や、生前の写真も映し出され、楽団の91人のメンバーらが“共演”した。

坂本さんは、昨年3月26日に同所で開催した前回は、直腸がんなどの闘病中で欠席し生配信で公演を視聴。終演後「素晴らしかった!! よかったです。みんなありがとう(拍手×3)」などとメッセージを送ったが、2日後の同28日に力尽きた。

坂本さんと朗読で共演するなど親交が深く、16年3月に都内で開いた第1回演奏会から7回目の参加となった吉永小百合(79)は、詩を5編、朗読した。終演後「皆で言っていたんですけど、天井の向こうに、坂本さんがいるって…」と涙した。これまで坂本さんとやりとりして選んできた詩も、今回は1人で3カ月かけて選んだ。「こちらに降りてきてくださっている感じがしました。絶対に届いていますね」と、坂本さんの存在を感じていた。

演奏会は、元日に発生した能登半島地震の被災地・富山県氷見市の氷見市芸術文化館でも、ライブビューイングが実施された。来年以降の継続開催を目指しており、音楽監督・坂本龍一の名も残る。東日本大震災発生から13年…海津洸太キャプテンは「支援される側から支援できる団体となる、第1歩の演奏会」と力を込めた。【村上幸将】