昨年4月に82歳で亡くなった歌舞伎俳優市川左團次さんの長男市川男女蔵(56)、孫市川男寅(28)が16日、都内で、「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2~26日、東京・歌舞伎座)の取材会を行った。昼の部「毛抜」は左團次さんの追善狂言(=演目)として上演される。

男女蔵は「追善は誰でもできるわけではない。皆さんのお力があって、お膳立ていただいて、どうにかこうにかできる。こういう機会をいただいたことを感謝して1日1日つとめ、無事に千秋楽を迎えたい」と話した。

左團次さんは79年の襲名の時、「毛抜」で粂寺弾正をつとめ、その後も何度も演じている。男女蔵は、父の粂寺弾正について「見ていると色っぽかった。自然にわいてくる、におってくる色があった」と振り返った。

左團次さんと、自分の粂寺弾正の扮装(ふんそう)写真を見ながら、男女蔵は「かっこよかった。男くささ、品の良さはまねできない部分です。スーパーマンですね。助言していただいたことをまずコピーして、最終的には自分を自然体で出せればいい」と話した。

左團次さんが最後に同役を演じた18年の舞台で共演した男寅は「唯一無二の存在感を出せた役者だったと思います。あの時の後ろ姿は一生忘れないでおこうと思います」と話した。

また男女蔵は、取材前日15日の命日に、納骨を済ませたことも明かした。