歌舞伎俳優片岡亀蔵(かたおか・かめぞう)さん(本名片岡二郎=かたおか・じろう)が24日、東京都足立区の菓子工場兼住宅で発生した火災により死亡した。64歳。亀蔵さんは住人の知人だという。

強い眼力、よく通る声で演じる憎い敵役から、ギャップを生かしたユーモアのある役まで、演じる役は幅広く、舞台で1度見たら忘れられない、そんな役者だった。12年に亡くなった中村勘三郎さんとの共演も多く、平成中村座公演には欠かせない存在だった。

舞台以外では、スポーツ全般に造詣が深かった。青学初等部時代、少年ラグビーチームの入部テストに合格したが、襲名を控えていたこともあり、本格的にはできなかった。以来、スポーツ観戦が大好きになったという。

19年に日本で開催されたワールドカップで日本代表が快進撃を続けていた時に取材に応じた亀蔵さんは、大きな敵に立ち向かう日本を、当時出演していた歌舞伎の演目「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」に例えて話してくれた。義経と弁慶一行が越えねばならない安宅(あたか)の関を、相手チームの強力ディフェンスに例え、チームワークで乗り越えられるとエールと送った。

当時の取材に亀蔵さんは「ラグビーも歌舞伎も団体競技。1人1人のスキルが上がることで、チーム全体のレベルが上がる。人に助けられることもあるし、自分が頑張ったことでうまくいくこともある。体1つで勝負、舞台に出ていくところも似ている」と、まじめに話していた。

衣装での写真撮影だったので、役のイメージを損なわないよう、ぎりりとカメラを見つめた。亀蔵さんらしい眼力だが、素顔はとっても優しい人だった。【小林千穂】

歌舞伎俳優・片岡亀蔵さんが知人宅の火災で死去 64歳 名脇役で12月は京都南座出演予定