“しゃべり屋”古舘伊知郎(71)が、今月7日の東京・EXシアター六本木から「古舘伊知郎トーキングブルース 2025」をスタートさせた。来年1月からは福岡、名古屋、大阪、横浜と“しゃべりの巡礼”に出る。テーマは「2025(ニセンンニジュウゴ)」。今年を2時間、ノンストップでしゃべりまくる。古舘に聞いた。【小谷野俊哉】
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「全部、決まってるわけじゃないんですけど。なにぶん古典落語じゃないんで、ガチッと決めてそれをやるっていうのではなくて、決めても数日前に何かが来れば差し替えたりもする。もうギリギリまで固まらないというのは常なんですけど、なんとなく全体的に言おうと思ったのは、今年何が起きたかを我々はどれだけ忘れているかというとこと。情報化社会の極みになってくると、いろんな情報がSNSも含めてあふれちゃう。僕らは情報の海に溺れているはずなんです。そうするとそこで思考を停止して、どんどんインプットするけど、アウトプットする術もなく、あとはアウトプットの代わりに忘れていくしかないんじゃないか」
あふれ返る膨大な情報の並を乗り切るには、忘れるしかない。
「今年の4月に何が起きたかっていうのを、どれだけ覚えているかというのを、ちょっと遊び気分も交えて。そこから何が結果か、それだけじゃ良くないので、結果をどれだけ忘れているかを答え合わせしたい。答え合わせって表現があんまり好きじゃないんだけど、答え合わせをした後に何が見えるのかなと。『トーキングブルース』なんで、基本的にはやっぱりブルースを奏でるっていうのが究極の目標なんで。人間の営みや人間の心の悲しみみたいなことをやると、そのためには相当楽しまないと。遊んで、笑って……その後にちょっとそういうのを心にね。だから『2025』という難義な、何だかわからないタイトルをつけているんですけど、今の時点でもういろいろ動いていて変わっている」
それでも25年、今年一番印象が残っている出来事がある。
「いろんなことがあると思うんですけど、1つはやっぱり政局ですよね。大きく大転換期なんだなと思うのは、多党制の時代に入ったということだと思うんです。今、オールドメディアといわれる新聞もテレビも自分もテレビで長くいたから、しみじみと自戒を込めて思うんですけど、どうしても自民を軸に、どこが連立するかとかねおかしな話なんですよ。我々の固定観念もなんで、自民を軸に、どこが連立するのかとか。国民民主党の玉木さんが調子に乗って総理大臣になる覚悟がありますって言って、それは高値で買ってもらわなきゃ困るからわけで、だからここに毒が入ってるかもしれない。おいしくないごちそうがあるかもしれないけど、食べる覚悟はありますよと国民に言うってことは、食べないってことですよね。そう、予告してたら本当に当たってうれしかった」
自民党と国民民主党の連立がご破算になり、維新が連立相手に名乗りを上げた。
「高市さんですから、玉木さんが引っ込んで、今度はフェイズが維新に行った。自民も維新も沈みかけてるんで、現世利益としてはバッチリだったわけで。菅さんというパイプ役が引っ張り込んだとか言ったって、麻生さんとどうなんだって言ったって大丈夫なわけなんです。結果、原子力で結ばれた。常にメディアの、僕もそうだから自戒を込めて言うけど、自民とどこが組むっていう、与党と野党って言って、たまに真ん中にいるとゆ党なんてふざけた言い方もあったけど、この与党と野党っていうスキームがもうないんじゃないかと思っているんですよ。もう幕開きというか、夜明けになったんだと思うんですよ」
世界の情勢は比較第1党である与党が連立相手を選ぶという形から、大きく変化している。
「ヨーロッパ見ても分かるように、主要国のオランダであろうが、ドイツであろうが、イギリスであろうが、フランスも動いてますけど、もうとにかく徹底した多党制の時代なんですよね。ドイツなんか首相が決まってからずっと組閣できないこともね。それはもう多党制だから、すり合わせに時間がかかる。オランダなんかは最近、トーキングブルースでこんな堅い話はしませんけど。オランダなんかはついに総理が決まっても、首相が決まっても、ずっと民主主義のコストで多党制だから熟議が必要だって時間かかっちゃうんでね。選挙の前に前倒しして、この政策はこうすり合わせて、組む場合はやりますよねって。そういう風に決めてから動き出すっていうような、今までありえないような、後で困っちゃうから、先に決めておきましょうとね」
日本の政治では、政党間のすり合わせは、国民の見えないところで行われてきた。
「政策の事前のすり合わせは、夜の料亭でやってた。今回もメディアが、麻生さんと国民民主の榛葉幹事長が極秘会談していたとかね。もう、極秘じゃない。そんなような古い体制だと思うんです。そういうことが、どんどんガラガラゴーンになっても、いいことばっかりじゃない。時間がかかるし、面倒くさいし、政策が前に進まないって停滞してしまうってこともある。高市さんが首相になって右旋回だってわけじゃなくて、これは多党制の始まりなんだなと。そうなるとやっぱり解散も近いんじゃないかと僕は勝手ながら思ってるんです」
▼「古舘伊知郎トーキングブルース『2025』」
26年1月18日 福岡・Zepp福岡
26年2月12日 愛知・Zepp名古屋
26年3月7日 大阪・Zeppなんば
26年3月20日 神奈川・Zepp横浜
◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85~90年(平2)フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。89~94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94~96年NHK「紅白歌合戦」司会。94~05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04~16年「報道ステーション」キャスター。現在、TBS系「ゴゴスマ」水曜日コメンテーターなど。血液型AB。



