昨年7月に政治家を引退した山東昭子元参議院議長(83)が、52年ぶりに女優復帰することが19日、分かった。
3月14日の舞台「銀河鉄道の夜に PART2」で国連難民高等弁務官の緒方貞子さん、同15日の「僕のモーツァルト」でオーストリア帝国ハプスブルク家の王妃マリア・テレジアを、ともに東京・サントリーホールで演じる。“女優山東昭子”に聞いた。【小谷野俊哉】
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金髪のカツラに赤いドレスのマリア・テレジアの衣装で登場した山東。「私は舞台人じゃなくて、ラジオから映画なんであまり舞台には出てないんですよ。本当に子どもの10代の時に子供ミュージカルみたいなのに出て、その後は時代劇の舞台を20歳前にやったくらいなんです」と振り返った。
女優、タレントとしてバラエティー番組でも活躍。NET(現テレビ朝日)「クイズタイムショック」では初の5週連続勝ち抜きを達成して、“クイズの女王”の異名を取った。転機が訪れたのは1974年(昭49)の参議院選。当時の田中角栄首相から白羽の矢を立てられ、32歳で初当選。昨年7月に引退するまでに参議院史上最多の8選。その間に科学技術庁長官、参議院副議長、同議長を歴任。女性として初めて自民党の派閥の領袖(りょうしゅう)、番町政策研究所の会長も務めた。その間は“特別出演”で画面に映ることはあっても、女優活動は断っていた。昨年の議員引退後は“第3の人生”を充実すべく活動。今回の衆院選でも、後輩たちの応援に駆けつけた。
今回は舞台を企画制作する国連クラシックライブ協会の理事長で、脚本、演出を担当する小池雅代氏から白羽の矢を立てられた。「『ちょっと出てください』って言われて、面白そうね、やってみようと承知して、台本が届いたらせりふが多くてびっくりしました(笑い)」。「銀河鉄道-」の緒方貞子役では、5分に及ぶ長い演説のせりふがある。「中身がね、山東昭子じゃなくて、緒方貞子さんのものにしなくちゃいけない。大体のことが分かっていれば、雰囲気できると思います」と、“昔取った杵柄”の余裕を見せる。
16人の子どもを産み、神聖ローマ皇帝妃、オーストリア・ハンガリー帝国を築き上げた女帝マリア・テレジアのきらびやかな衣装も「私も国会から離れて、なんか新しいことにチャレンジしてみようとね。大変魅力があると思いました。ワクワクしています。今回の舞台は、1日ずつだけで面白そう。女優時代から舞台出身じゃなく、ラジオからテレビに出て、それで映画という感じでした。同じことを毎日やるっていうのは好きじゃなかったんです」。
女性として初の自民党の派閥領袖、そして参議院議長を務めた。昨年10月、憲政史上初の女性である高市早苗首相が誕生した。「世界でも日本の存在感って、非常にあるんですよね。女性を首相にしたということは、とても高く評価されています」。
今後については「いろいろやってみたいですけど、今年は7回目の年女ですから。いつも言ってることなんですが、勇往邁進(まいしん)というか、とにかく恐れを知らずに何かにチャレンジしてみよう。私はずっとウエルビーイング(心身の健康・充実)でやって来ました。人生100年の時代ですから、今も勉強。元気な高齢者になればいい。誰ひとりとして取り残さない。『もう齢だから』っていうのは死語にしましょうね」と笑顔を見せている。
◆山東昭子(さんとう・あきこ)1942年(昭17)5月11日、東京生まれ。11歳でラジオ東京の子ども番組の司会を務め芸能界入り。57~59年のラジオ東京「赤胴鈴之助」でナレーション担当。東映と専属女優契約を結んで、57年に「旗本退屈男 謎の蛇姫屋敷」で映画デビュー。63年TBS「若いやつ」で連続ドラマデビュー。海外ドラマ「スパイ大作戦」などで声優としても活躍。NET(現テレビ朝日)系「クイズタイムショック」で初の5週連続勝ち抜きを達成して“クイズの女王”の異名を取る。74年、32歳の時に参議院選全国区で初当選。07年に参議院副議長。19~22年参議院議長。



