約25年間所属した芸能事務所からの独立問題が明るみに出た歌手美川憲一(66)が14日、休暇先の米ロサンゼルスから帰国し、成田空港で会見した。今年になって、ギャラの未払いや、社員の給料の遅配などが相次いだため、新事務所設立も視野に入れ、独立を考えていることを認めた。長年にわたって信頼関係を保ってきたこともあり、苦渋の決断だったという。小林幸子(58)も所属事務所をめぐる騒動の渦中にあるが「私の場合とは違う」と話した。

 会見場に姿を見せた美川は、報道陣の熱気に驚きの表情を見せながらも、努めて冷静に事態を説明した。所属事務所「エービープロモーション」から既に社員6人が退社していることを認め、自分も今後、事務所社長A氏と話し合う予定であることを明かした。また「スタッフもやめてしまったわけですから、私も…」と退社の意思が固まっていることも示唆した。

 発端は、美川へのギャラの未払いと、社員6人の給料の遅配だった。「経営不振なのか」と聞かれた美川は「私も仕事をしていますし、そんなはずはないと思っている」と否定。A氏は美川の仕事が減ったことが影響していると主張しているが、美川は「コマーシャルの仕事もしていますし…」と困惑していた。

 関係者によると遅配は最近3カ月続いていたが、遅配分の給料は現在までに支払われたという。ただ自分のギャラの未払い分については「まだ少し残っています。びっくりするような値段じゃないと思いますが」と話した。

 退社は苦渋の選択だったという。A氏とは長く苦楽をともにしてきた。「私も24年、ご奉公させてもらいました。信頼関係を持って仕事してきましたが、こういう形になって残念です」と複雑な表情を見せた。不況のあおりを受け、厳しい経営状況に置かれる芸能事務所も多い。「もう少し頑張って乗り越えてほしいという気持ちもある」とも話した。

 今後については明言しなかったが、自分がプロデュースする都内の飲食店経営者が、A氏と新事務所設立を視野に入れながら話し合うことになるという。

 友人でもある小林幸子も“お家騒動”の渦中にある。「私の場合は、1人の所属タレントですから、質が違う話」と話した。