森友学園への国有地売却をめぐる財務省の文書改ざん問題で、佐川宣寿・前国税庁長官(60)は27日、衆参両院の予算委員会の証人喚問に臨んだが、改ざんの指示など核心部分で、刑事訴追の可能性を盾に56回も証言拒否した。

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 佐川氏は福島県いわき市生まれ。中学3年の時、父親を亡くし、都内に転校した。3人の兄が学費を負担し、九段高校から2浪の末、東大文科2類(経済学部)に進学した。82年に大蔵省(現財務省)に入省。同期には自民党参院議員の片山さつき氏、現事務次官の福田淳一氏、野党が国会招致を求めている迫田英典氏がいる。

 財務省では税務が長いが、森友学園との交渉窓口となった近畿財務局にも98年、理財部長として勤務。その後、塩川正十郎財務相時代に秘書官も務めた。「部下への指示や物言いが厳しい」ことで知られ、省内でひそかに出回っているというパワハラ上司ランキング「恐竜番付」では東前頭4枚目となったこともある。

 関税局長を経て、16年6月、迫田氏の後任として理財局長に就任。昨年2月、発覚した森友学園問題では「官僚らしからぬ強気の答弁」を連発して野党の追及をはねつけ、同年7月、事務次官に次ぐポストである国税庁長官に就任した。