宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午前7時50分すぎ、探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」の着地に成功したと発表した。

「はやぶさ2」は21日午後1時15分に高度2万メートルから「りゅうぐう」に向かって降下を開始し、22日午前7時48分に表面の半径3メートルという極めて狭い目標にピンポイントのタッチダウンを決めた。表面の岩石や砂の採取を試み、数秒後に表面から離れたことが確認された。小惑星への着陸は05年の初代「はやぶさ」以来の快挙。小惑星探査における緻密で精度の高い制御技術を示した。

「りゅうぐう」は地球と火星との間に位置する直径約900メートルの小惑星だ。地球からは3億4000万キロ離れており、探査機へ指令を伝えるまで片道約20分かかる。高度500メートルを切ると地上からの指令が間に合わなくなる可能性があり、「高度45メートルを切ると電波が届かない」(久保田孝・研究総主幹)という極めてシビアな状況下だ。

高度500メートルまで降下した段階のデータをもとに着地を最終決断し、午前6時14分に発表した。「今回は最も重要な運用で管制室内には運用専門も含め、最大となる40~50人体制で臨んだ」と吉川真ミッションマネジャーは緊張の面持ちで語った。

当所は21日午前8時ごろから降下の予定だったが、プログラムの異常が見つかり、約5時間の遅れが生じた。このため、予定していた秒速40センチから秒速90センチへ降下スピードをアップさせることを余儀なくされた。最終段階での「はやぶさ2」は地上の指示を受けず、検知したカメラ画像や高度などを検知、自ら判断しながら着地した。

着陸は昨年10月を予定していたが「りゅうぐう」の表面は想定を上回る岩と険しい地形であることが判明した。着陸で機体を損傷する可能性があると判断されたため延期され、着陸地点を2カ所に絞っていた。直径6メートル以内のピンポイント着地成功に「甲子園球場のグラウンドへの着地から、同球場のマウンドに着地させるイメージ」と、管制室は歓喜に包まれた。

岩や砂など試料の採取は今年夏までに数回行われる予定とされている。無事に地球へ持ち帰ることができれば10年6月の初代「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から微粒子を採取、帰還して以来となる。「りゅうぐう」には太陽系が誕生した約46億年前の名残をとどめた物質が残っていると推察されている。採取された試料によって太陽系の誕生にまつわる謎を解明すると期待されている。「はやぶさ2」は初代「はやぶさ」の後継機で14年12月に種子島宇宙センターから打ち上げられ、昨年6月に「りゅうぐう」周辺に到着した。