米中貿易摩擦をめぐる中国に向けた追加関税で、トランプ米大統領の指示を受けたUSTRが10日、新たにこれまで追加関税が課されていなかった約3000億ドル(約33兆円)分の「第4弾」発動に向けた準備を始めた。

対中追加関税をめぐっては、米国は10日未明に第3弾(2000億ドル=約22兆円)を発動したばかりで、間髪を置かずに強攻な攻めを見せている。激化する米中の追加関税合戦は、日本にはどんな影響を与えるのか。経済アナリストの森永卓郎氏に聞いた。

   ◇   ◇   ◇

まず米中両国の経済成長率が落ち、世界的な景気後退の危機に直面します。トランプ氏は中国に対する家電、家具、食料品や日用品の関税アップを発動しましたが、怖いのは追加関税の第4弾。米企業が中国で製造するiPhoneまでも含まれていて米企業にも直接的なダメージが及ぶ。

すでに輸入量が激減した中国向けの米国産牛肉は日本国内へ振り分けられ、米国産牛肉の価格は下がっています。中国が米国から輸入せず、日本に流れる物品は総体的に価格が下がりますが喜んではいけません。円が買われて円高になれば日本の輸出産業は厳しくなるし、それ以前にもう十分に円高。このまま行けば、デフレはさらに加速を続けて、日本経済、景気が落ち込みます。安倍首相は消費増税を延期するしかありません。Xデーは国会の会期末次第ですが、早ければ6月26日、遅くとも7月上旬とみます。トランプ氏もどうかと思うが、これでも消費増税を延期しなかったから安倍氏もどうかと思う。

G7やG20などで国際合意してきた「自由貿易で世界経済を発展させる」「地球環境への対策対応を協力しあう」「核軍縮」という3本柱を「ちゃぶ台返し」したのにトランプ氏の支持率は高い。中国は国家プロジェクトである産業構造の先端分野への転換を完全否定され、一歩も引けない。危ないカードばかりを切る「トランプゲーム」はトランプ氏が辞めない限り続くでしょう。