第4次安倍再改造内閣が12日、本格始動した。小泉進次郎環境相(38)は「3・11」以降、通い続けてきた福島県を大臣として初めて訪れ、内堀雅雄知事と会談。県が直面する「苦渋と信頼」というキーワードを示され「復興大臣の意識を持った環境大臣として、信頼を深められるよう努力したい」と応じた。前任の原田義昭氏が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に言及した問題を受け、県内の漁業関係者を訪ねて謝罪したことも明かした。

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東日本大震災と東電福島第1原発事故発生以降、野党議員、復興政務官、議員とさまざまな立場で福島と向き合ってきた進次郎氏。課題解決に、これまで以上の責任を負う大臣となって初めて、福島を訪れた。

県庁で面会した内堀知事とは震災直後の視察以来、交流を続ける。その内堀氏から「苦渋と信頼」という言葉を示された。中間貯蔵施設の建設受け入れは「県民の苦渋の象徴」と指摘を受け、汚染土を当初の計画通り、30年以内に県外で最終処分という約束を国が守ることも、重ねて求められた。「約束を守ることで本物の信頼が生まれる。小泉さんのリーダーシップで、信頼をしっかりつくってほしい」と、要請を受けた。

「復興はライフワーク」という進次郎氏に感謝を示しながらも、県と国の真の信頼関係が築かれていない現実がにじんだ。進次郎氏は「苦渋と信頼。忘れない。約束を守れるよう、全力を尽くしたい」と応じた。来週、県内の中間貯蔵施設を視察する予定だ。

信頼を揺るがす事態は、進次郎氏の就任直前にも起きた。前任の原田義昭氏が、第1原発の処理水を「海洋放出するしかない」と発言、漁業関係者は猛反発している。12日午前、原田氏から引き継ぎを終えた進次郎氏はそのままいわき市の小名浜港を訪れ、原田発言を謝罪した。会見では「率直に、申し訳ない、と。私が大臣になる前のこととはいえ、今の思いを伝えないと信頼に関わる。前大臣の発言で積み上げてきた信頼が揺らいだなら、全力で立て直す」と、強調した。

県庁では、多くの人々に迎えと見送りを受けた。「いい意味で自然体の大臣初日を迎えられたのは、皆さんとの縁のおかげ。県民とともに復興を前に進めたい」とした上で「今後はさらに責任が問われる重い課題も多い。皆さんが、前向きな仕事に専念できる環境を早く実現するため、環境省は全力でやる」。就任直後から多用する「全力」という言葉を、この日も繰り返した。【中山知子】