2020年東京オリンピック(五輪)の聖火リレーで日本一の富士山を走るランナーに登山家でプロスキーヤーの三浦雄一郎氏(87)を起用することが18日、大会関係者への取材で分かった。三浦氏は世界最高峰エベレスト(標高8848メートル)を80歳で登った、世界最高齢登頂者で世界的にも認知度があり、白羽の矢が立った。

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聖火ランナーとして日本一の山を、世界一の男が走る。三浦氏は山梨県のコースで2日目となる6月28日に、富士山5合目最初の走者として聖火をつなぐ。関係者によると、普段、富士山で清掃活動をする子どもたちが、三浦氏の後について走る計画という。

富士山5合目に聖火を運ぶ方法は、トーチの火を消すのと同時に離れた場所で点火させる瞬間移動方式を採る。コースは5合目バス停付近から展望広場までの2区間約300メートル。富士山は13年、世界文化遺産に登録された。国内外から見ても日本の象徴とされる「フジヤマ」での聖火リレーは、世界的にも注目される。

三浦氏は富士山との関係性も深い。64年東京五輪の男子マラソンで金メダルを獲得したアベベ・ビキラに刺激を受け66年、三浦氏はスキーで富士山を直滑降するという無謀な計画に挑戦し、見事成功させた。

80歳だった13年、3度目のエベレスト登頂を成功させた。今も世界最高齢登頂の記録は破られていない。昨年、南米大陸最高峰のアコンカグアの登頂を目指したが、体調不良となり断念。その帰国会見で、今後の目標を「90歳でエベレスト登頂」と打ち立て、飽くなき挑戦を続けている。

五輪との縁は浅からぬものがある。モーグルで94年リレハンメル五輪、98年長野五輪出場の次男豪太氏を始め、長野五輪モーグル金メダルの里谷多英氏も三浦氏のスキースクール出身。校長を務めるクラーク国際高校の卒業生にも、14年ソチ五輪スノボ女子の銀メダリスト竹内智香がいる。

◆三浦雄一郎(みうら・ゆういちろう)1932年(昭7)10月12日、青森市生まれ。64年に直滑降のスピードを競うイタリア・キロメーターランセで時速172・084キロの世界記録(当時)を樹立。70年はエベレストの8000メートル地点からスキーで滑降、ギネス認定。当時の記録映画は米アカデミー賞(長編記録映画部門)を獲得した。85年には世界7大陸最高峰のスキー滑降を完全達成。エベレストには70、75、80歳の3回登頂。家族は妻と2男1女。164センチ、85キロ。