新型コロナウイルスの感染拡大で全都道府県に緊急事態宣言が発令され、外出自粛要請で業績悪化に苦しむタクシー業界が「便利タクシー」で苦境を乗り切ろうとしている。買い物や薬の受け取りなどを代行する「おつかいタクシー」や弁当の宅配、飲食店のテークアウトの配達など「出前タクシー」など便利な各種代行サービスが、全国のタクシー会社で拡大している。

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新型コロナウイルスの感染拡大で大幅な業績低迷にあえぐタクシー業界が「お客を乗せないタクシー」に活路を見いだそうとしている。横浜市や東京都内でタクシー、ハイヤーを運営する三和交通では6日から「大変な時だからこそ、タクシー会社としてできることを」と、買い物代行サービスをスタートした。

不要不急の外出を避けたいが、生活必需品などの買い物ではレジ待ちの行列、薬局では待合室などは「3密」状態が懸念され、感染リスクが高まる可能性がある。そこで自宅にいながら利用できる「おつかいタクシー」が注目されている。

タクシー各社ではドライバーの検温、マスク着用や手洗い、車内消毒など感染予防の対策を実施しており、荷物の受け取り時にも安心感がある。「ご依頼はまだ少数ですが、ぜひ活用していただければ」と三和交通では呼びかけている。同社料金は地域で異なり、横浜エリアで30分2860円~、東京・三多摩エリア(府中、小平、八王子)では30分3110円~などで配車センターに電話で事前予約が必要となる。

外出自粛要請で客足が激減する中で、主要駅前のタクシー乗り場は客待ちをする空車タクシーがずらりと並ぶ。「1時間以上も客待ちして、乗ってもらったら、初乗り料金。こんなことは初めて」と、60代の個人タクシー運転手は嘆く。大手タクシー会社では乗務員の一時休業に踏み切り、ロイヤルリムジン(東京)では8日、業績悪化を理由に約600人の乗務員を解雇する方針を示すなどタクシー業界は深刻な「コロナ不況」に陥っている。

全国のタクシー会社が「便利タクシー」で苦境を乗り切ろうとしている。栃木・宇都宮市の「北斗交通」は1日から弁当宅配など、茨城・水戸市の「さわやか交通」では急増する飲食店のテークアウト料理のデリバリーなど「出前タクシー」サービスを始めるなど、全国に拡大している。【大上悟】