新型コロナウイルスの感染拡大で品薄の小麦粉やパンケーキミックスなどが、ネット上で高値転売されるケースが広がっている。大型連休に入り、緊急事態宣言も延長となる可能性が高まり、家庭で「粉もの」需要が高まっている。現在も高値が続く、マスクの転売は禁止されたが、消毒液など規制対象外の商品の高額転売が横行する中で、小麦粉などが、新たな転売のターゲットとなっている。

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ネット上で商品の転売利益を狙う「転売ヤー」と呼ばれる個人や業者らが、「粉もの」に新たな触手を伸ばしている。フリマアプリでは小麦粉、パンケーキミックスの高値転売が多発。小麦粉(薄力粉)はスーパーなどで実勢価格1キロ100円~200円(税別)だが、「500グラム900円」「2キロ1750円」など相場の10倍以上に値付けされているものが、数多く出品されている。

同一と思われる「出品者名」で複数回、高値出品され、落札されているケースもある。高値出品の投稿欄には閲覧者から「買い占めて転売している方からは買いたくない」や、「このご時世なので転売が疑われます」などの指摘が相次いでいる。だが、出品者は返答せず、コメントを削除している例も多くあった。

緊急事態宣言下の大型連休に突入した。自宅で1日3食という世帯も増え、パン、お菓子作り用の強力粉も含めて「粉もの」需要が急激に高まり、一部スーパーでは品薄となっている。ネットショップでは小麦粉(薄力粉)1キロ390円など、相場よりもやや高い値付けで販売しているが「品薄で発送まで3~4週間」という店舗も多い。フリマアプリの高値出品には「スピード発送」をうたうものもあり、やむなく購入した人も少なくなさそうだ。

江藤拓農相は1日、「極めてけしからんことだ。小麦の在庫は十分にある」と述べ、買い占めを招くとして「政府として何らかの対応をする必要がある」と警告した。農水省によると外国産小麦の備蓄は現在約93万トンで国内需要の約70日分に上る。仕入れ価格を上回るマスク転売は3月15日から禁止されたが、「転売ヤー」は対象外の消毒液、消毒液として代用できる高濃度アルコール酒、体温計など品薄商品を高額転売している。「コロナ禍」のいたちごっこは続きそうだ。【大上悟】