毎年10月31日、大勢の若者らでにぎわう東京・渋谷のハロウィーン。今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、渋谷区の長谷部健区長が、期間中に仮装姿で渋谷に来ないよう自粛を求める異例の展開になっているが、30日夜、渋谷を訪れると、例年のハロウィーン前夜に比べて静かな街に“変身”していた。

仮装して大盛り上がりする若者や外国人の姿は見られなかった。過去にはトラブルが相次ぎ、痴漢や窃盗のほか、18年にはトラックを横転させる暴動もあったが、今年の渋谷センター街は、人の多さも普段通りの週末とほぼ同様。スクランブル交差点を監視するDJポリスも、時折アナウンスをしながら、静かに歩行者の動きを見守っていた。

渋谷センター商店街振興組合小野寿幸理事長(79)は取材に、この日の渋谷の様子を「人の多さは前年の半分以下で、仮装している人は、ほとんどいない。嵐の前の静けさじゃなければいいが…」と話した。新型コロナウイルスの影響で「渋谷からハロウィーンは消えた」と強調。若者にも、自粛の効果が出ていると話す。一方で「おそらくキャリーケースに衣装を入れ、周りの様子をうかがっている若者もいた」と述べ、油断はできないとした。

「例年みたいな状況にはなってほしくない。(30日の人の少なさに)今はほっとしているが、気を緩めずに様子を見たい」。小野氏は表情を引き締めた。【佐藤勝亮、沢田直人】