小学生の夏休みの自由研究の課題にシーラカンスなど、どうだろうか?

6月中旬、フランス海洋開発研究所のケリグ・マエ氏の研究チームが「シーラカンスの寿命は100歳」との従来説の約5倍であることを発表した。

フランス国立自然史博物館に保管されている、1954年から91年の間に捕獲されたアフリカシーラカンスの標本27体を最新鋭の偏光顕微鏡を使って再調査した。魚の年齢を推察できるウロコの輪状を詳しく調べると、1年でできるはずの輪状の中にさらに細い「微小輪状」が発見され、結果27体の年齢は5~84歳であることが判明し、これまで寿命は20歳前後とみられていたが「おそらく100歳の個体もいるはず」とマエ氏は話しているという。

この研究結果について、2009年にインドネシアシーラカンスの生きた幼体(31・5センチ)を水中ドローンで動画撮影した水族館「アクアマリン福島」(いわき市)でシーラカンス研究歴20年、岩田雅光学芸員(55)に聞いた。「ウロコを徹底的に調べあげたことは称賛に値する。素晴らしい」と評した上で「標本ではなくて生きている個体での研究に取り組んでいます」と語った。

昨年3月、インドネシア沖で水中ドローンを使用して生きている個体を捜索して撮影するプロジェクトが計画されていた。しかし、地球規模の新型コロナウイルスのまん延で中止となった。

岩田学芸員は「コロナ禍が明けたらインドネシアで12年前に撮影した個体を見つけて、どの程度大きくなったのかを確かめたい。標本で測定された胎児の最大は32センチだったから、おそらくこの幼体は当時生まれたばかり」と話し「まだ現地には行けないので、この夏は日本にいます。シーラカンスの話ならばいくらでもしますよ」。「生きた化石」研究の最前線を福島で体感できますよ。【寺沢卓】

◆シーラカンスとは 化石でしか存在が示されず、絶滅した古代種とされてきたが、1938年、南アフリカ沖で現生種が確認された。さらに97年、インドネシア沖で別種が確認され、前者を「アフリカシーラカンス」、後者を「インドネシアシーラカンス」と呼ぶ。生態は明らかになっておらず、マエ氏の研究リポートでは妊娠期間は5年にわたり、成熟するまでは40~70年かかると報告された。