菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選に立候補した高市早苗前総務相が24日、議員票(382)と同数の党員・党友票(382)獲得へ「芸能人攻勢」に打って出た。議員票では岸田文雄前政調会長、河野太郎行革相がリードとの情勢も伝えられる中、28日が締め切りの党員・党友票奪取で巻き返しを狙い、アーティストらとのコラボ戦略で存在感をアピールした。

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高市氏はアーティストらとの対談3連発で形勢逆転を狙う。ミュージシャンの世良公則氏からは音楽業界の窮状を訴えられた。「相当な数のライブが中止になり、派生するキャンセル料が多額で精神的に耐えられなくて、ご自分で命を絶たれてしまったケースがある」などと説明を受けた高市氏は「まだ総理総裁候補ですが、まず補正予算を急ぎたい」と、支援に前向きな姿勢を示した。

総裁選中に、新型コロナウイルスの2度目のワクチン接種を受け、「副反応で全身の関節が痛くて痛くて。鎮痛剤を飲んでますが、自分で書いた字が、ぐじゃぐじゃで読めない(笑い)」と体調不良を明かしたが、用意されていたフォトセッションでは、かつてヘビメタ・バンドでドラムを務めた、こん身のスティックさばきを披露した。

30年近い親交のあるシンガー・ソングライター嘉門タツオ氏との対談では、嘉門氏から「ちゃらり~♪、鼻から牛乳」の替え歌で「ちゃらり~♪、奈良から総裁」などの応援ソングでエール送られた。嘉門氏から「今回はダメでも次につながるから」とされた高市氏は「縁起でもないこと、言わんといて」と、関西弁全開で笑い飛ばした。

ミュージシャンのデーモン閣下と、日本音楽事業者協会からも要望書を受け取った。閣下から「万が一、(総理総裁に)なれなくても、おそらく政府の要職に就かれるでしょうから、ぜひ、エンターテインメント業界にご協力いただいて」とされた高市氏は「え~、言霊の国ですから今、そういうこと言われても」と冗舌で返し、初の女性総理へ、強い意欲を見せていた。。

他候補も党員・党友票獲得への動きを加速させている。岸田氏は派閥の会合で党員・党友票を含めた地方票獲得へげきを飛ばした。野田聖子幹事長代行も日本商工会議所の三村会頭らとオンラインで会談し、支持を訴えた。投開票まで残り5日。まだ投票先を決めかねている党員・党友票を照準に、4候補それぞれの戦略が終盤戦で過熱し続けている。【大上悟】