「SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦2022」が25日、都内で行われた。東西のスター棋士が各6人ずつ集結。1手30秒未満の早指しで対局する団体戦で、昨年に続いて2回目の開催となる。西軍ファン投票1位の藤井聡太竜王(20)は4番手で登場。東軍ファン投票1位の永瀬拓矢王座(30)に74手で快勝した。矢倉に組んだ先手永瀬に対して一直線に攻め込み、一気に寄せ切った。「1勝できてホッとしています」と笑った。

その後に行われたQ&A形式のトークショーでは、20歳の青年の素顔を見せた。「最近ハマっているもの」との問い掛けに、「トレインシミュレーター」と答えた。自宅で楽しんでいるという。「駅の停車位置や坂道の勾配など、運転のしがいがあります。駅でオーバーランとかもします」と話し、来場した800人のファンを笑わせた。「地下鉄も運転するのか」と司会者に問われた時には、「景色が見えませんのでやりません」と切り返した。

小さい頃から鉄道好きで、昨年7月に北海道旭川市で行われた王位戦第2局の現地入りには、新千歳空港から特急を使ったほどだ。将棋漬けの中での楽しい気分転換に違いない。

来年挑戦したいこととの問いには、「体力をつける」とした。今年に入って体幹トレーニングを始めたはずだが、「寒いことを言い訳に最近サボっているので、暖かくなったら心を入れ替えて頑張りたい」となごませた。公式戦にはない、ユーモアタップリのファンサービスの一幕だった。

27日には今年最後の対局がある。渡辺明棋王(名人=38)への挑戦権を佐藤天彦九段(34)と争う、第48期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定戦(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)だ。これに勝てば、棋王初挑戦となり、「年度内6冠獲得へGO」となる。

東西対抗戦は3勝3敗で、7局目のリレー将棋までもつれ込んだ。永瀬・羽生組(東軍)対藤井・豊島組(西軍)の対局は東軍が勝って4勝3敗とし、昨年の雪辱を果たして優勝するとともに、賞金600万円を獲得した。【赤塚辰浩】