将棋の藤井聡太竜王（王位・叡王・棋王・王将・棋聖＝20）が渡辺明名人（39）に挑戦する第81期名人戦7番勝負第3局が13、14の両日、大阪府高槻市「高槻城公園芸術文化劇場」で行われ、先手の渡辺が藤井を破った。シリーズ対戦成績は藤井の2勝1敗。4連覇を狙う渡辺が反撃の1勝を挙げた。藤井は最年少名人＆7冠に足踏みするかたちとなった。第4局は21、22日、福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段（83）が対局を振り返ります。

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藤井竜王は絶好調ではなかった気がします。終盤、竜で金を取りに行きましたが、7筋に銀を打って王手をすれば即詰みに討ち取れたはずです。簡単な手順を逃したのが不可解です。その前に7筋にある桂の頭に歩を打たなかったのも、疑問符です。迷いがあったのかもしれません。

雁木（がんぎ）から4筋の絶好の位置に角を据え付け、攻撃の主軸にした作戦はうまかったです。周囲の歩を突き捨てて開戦し、角切りに出た局面では、鋭く踏み込んだ藤井竜王が優勢だと思っていましたから。

渡辺名人も終盤、安全運転に出て相手の角を取りました。5筋に飛車を打ち込んで「王手金取り」なら、分かりやすかったでしょう。ともあれ1勝して、3連敗を免れました。7番勝負は面白くなってきました。

第4局は藤井竜王が先手番ですから、エース戦法の「角換わり腰掛け銀」だと思います。後手番で藤井竜王から3勝している渡辺名人が、どう対応するかが焦点。シリーズを左右する大きな1局になるでしょう。（加藤一二三・九段）