岸田文雄首相の長男、岸田翔太郎首相秘書官(32=政務担当)が6月1日付で辞職することが分かった。政府が29日、発表した。事実上の更迭だ。後任は、翔太郎氏が就任するまで務めていた岸田氏の秘書、山本高義氏が就任する。

翔太郎氏をめぐっては、5月25日発売の「週刊文春」が、「岸田一族『首相公邸』大ハシャギ写真」のタイトルで、昨年末に翔太郎氏や親族が首相公邸で「忘年会」を行った際の様子が、写真付きで報じられていた。内閣改造時に閣僚の集合写真が撮影された赤じゅうたん敷きの「西階段」で写真撮影をする翔太郎の姿や、赤じゅうたんに寝そべる親族とみられる男性の写真、会見用の演台で男女がピースサインなどのポーズを取る様子などが報じられた。与野党からその「公私混同」ぶりに、あきれた声や批判の声が出ていた。

首相は26日の参院予算委員会で、野党側に翔太郎氏を更迭するよう要求され「公邸内には、迎賓機能、執務機能を有する公的なスペースがある。その点において、報道にありますような行動、これは不適切だった」とした上で「厳重に注意した」と述べるにとどめていた。

ただ、永田町では文春が「第2弾」を報じるのではないかとの臆測も流れており、首相の判断に注目が集まっていた。首相は将来の自身の後継者と見据えている翔太郎氏をかわいがり、秘書官就任で経験を積ませる目的があったとされるが、さすがに今回ばかりはかばうことができなかったようだ。

翔太郎氏は岸田内閣発足1年の昨年10月、政務担当の秘書官に就任した。今年1月の首相の欧米歴訪に同行時にも、公用車で観光やお土産購入に回ったと報じられ、この時も首相が国会で追及されるなど、秘書官の業務以前の問題行動ばかりが指摘されていた。