こんにちは。先週英国で行われたセントレジャー(日本の菊花賞のモデルとなったレース)をハーツクライ産駒のコンティニュアスが勝利しましたね。これで、日本の種牡馬の産駒が英国牡馬クラシック全てで勝利を達成したことになります。

2000ギニーはサクソンウォリアー、ダービーはオーギュストロダン、そしてセントレジャーはコンティニュアスと、愛国のクールモアグループの馬だけで達成された快挙です。日本馬のレベルの高さや、種牡馬としての欧州での価値も大きく変える出来事ですが、やはり、クールモアグループが外部に売らずキープしている繁殖牝馬のレベルの高さにも驚かされます。日本へ送る繁殖牝馬は、クールモアグループが厳選して日本へ送り込んだ馬ばかり。産駒たちが素晴らしい戦績を残している事は、その相馬眼にも驚かされます。

日本調教馬がヨーロッパのレースを勝つ方法として、長期滞在すれば同じような戦績を出せるという説がよく語られますが、改めて私は否定派です。その理由としては、脚元の状態の維持がとても困難だからです。日本ではウッドチップを使った坂路や馬場コースがありますが、ヨーロッパでは硬めの土のようなダート、そしてオールウエザーコースが主です。馬場状態が天候に左右され難いとされていますが、今のヨーロッパ地方は夏に雨が少なく、そして、猛暑となっている事で馬場が非常に硬くなりやすく、昔とは明らかに状況が変わってきています。クールモアグループの成功の中に、彼らがプライベートで持っているウッドチップコースが少なからず影響していると私は考えます。

他にも日本との大きな違いは、競馬の番組体系にもあると思います。ヨーロッパの馬に合ったレース選択ができ、馬の成長に合わせたレース使いができる点は、日本競馬のように淘汰(とうた)されていくシステムとは異なります。ゆっくり成長待ってからいろんなレース選択が出来るので、馬の成長を促したり自信をつけさせるのには最適です。

ハーツクライ産駒は成長力に期待でき、重馬場状態が少々重くてもこなせる馬が多いので、コンティニュアスがもし凱旋門賞に出走した場合は伏兵馬として注目する必要があります。ただ、1点不安材料としてはハーツクライ産駒は左回りの大レースにめっぽう強く今回のセントレジャーもドンカスター競馬場で左回りでしたが、凱旋門賞は右回りなのでそこがどこまで対応出来るのかは、チェックする必要があります。

日本の種牡馬は現在コントレイルを筆頭に、キタサンブラックなど多くの馬が注目され、活躍がヨーロッパを中心により広がると思います。個人的には、自身もヨーロッパで力を見せたオルフェーヴル産駒の活躍を見てみたいと願っています。(レースホースコーディネーター)