マスクトディーヴァの強烈な末脚を、岩田望騎手が引き出した。レース序盤は中団の外。リズムよく流れに乗ると、4コーナーから仕掛けて勝負に出た。前半1000メートル通過は57秒3。高速馬場とはいえかなり速い。

2~4着馬が11番手以降から追い込んだのを見ても、前の馬には厳しい展開だった。この流れの中、早めに動くのは勇気がいる。しかもスパートをかけた残り400→200メートルは11秒0。全体ラップで2番目に速いところ。負ければ「早仕掛け」とも言われかねない。

後ろには1番人気ブレイディヴェーグも控える。この状況でも馬の手応え、馬場状況などを踏まえて「行く」判断をした勝負勘。そこが素晴らしい。鞍上の期待にマスクトディーヴァも桁違いの瞬発力(10秒5前後)で応え、一瞬にして後続を突き放した。

最後の200メートルはさすがに11秒8かかったが、勝負どころを1ハロン前倒ししてリードを広げる作戦が見事にはまった。秋華賞ではリバティアイランドと初対戦となるが、高速ラップの中でも突き抜ける爆発的な末脚は、2冠牝馬にとっても脅威となるはずだ。

日本レコードでローズSを快勝したマスクトディーヴァと岩田望騎手(撮影・白石智彦)
日本レコードでローズSを快勝したマスクトディーヴァと岩田望騎手(撮影・白石智彦)