ペプチドナイルが得意の消耗戦に持ち込んだ。前半1000メートル57秒9のハイペースにもかかわらず、勝ち時計の1分35秒7は過去5年で一番遅い。つまり、後半は粘り合い。レースの上がり3ハロンが37秒8、最速のセキフウでさえ36秒4かかったのを見ても、スタミナ勝負だったことが分かる。

藤岡佑騎手はこの流れをうまく利用して、ペプチドナイルのしぶとさを引き出した。好スタートからドンフランキーの2番手につけたが「速い」とみるや、3コーナーまで並走していたドゥラエレーデ、ウィルソンテソーロを前に行かせて4番手に控えた。この「ため」が驚異の粘りにつながったといっていい。

逆に4コーナーでは早めに動き、前2頭にプレッシャーをかけることで、ライバルの体力を奪った。確かに抜け出すタイミングとしては早いが、もまれ弱さがあるタイプ。流れを考えれば、追い込み勢もそう速い脚は使えない。外からかぶされる前に出ていこう。この判断も素晴らしかった。

ひとつ間違えれば激流にのみこまれて、末脚をなくしたかもしれない。2番手から1列下げたポジション取り、直線を待たずに動いた勝負仕掛け。藤岡佑騎手の手腕が、ペプチドナイルにG1初挑戦制覇をもたらした。

フェブラリーSを制したペプチドナイルの藤岡佑騎手はガッツポーズする(撮影・柴田隆二)
フェブラリーSを制したペプチドナイルの藤岡佑騎手はガッツポーズする(撮影・柴田隆二)