<桜花賞>

モレイラ騎手の「技」が光った。ステレンボッシュのスタートは外に寄れてあまり良くなかったが、すぐに立て直すとアスコリピチェーノの後ろへ。相手はこの馬。そう決めていたかのように、ぴったりマークしていく。すごかったのはそこから。馬群が密集して動きにくい状況の中、内イフェイオン、外アスコリピチェーノの間、狭いスペースに馬体を滑り込ませた。

4コーナーで大外を回る形では苦しい。少しでもロスをなくして、ライバルにはダメージを与えられるようなポジション取りを、流れの中で作っていった。陣営から「精神面の強い馬」という話は聞いていただろうが、テン乗りでこの乗り方ができるのはすごい。前半800メートルは46秒3。そこそこ流れた中でも、馬混みでしっかり脚をためた。

コーナーの出口付近でアスコリピチェーノがわずかに外へ膨れると、内から押し出すように進路を確保。一気に前へ出た。もし、内外が逆だったら、着順が変わっていたかもしれない。先頭に立つのは早くなったが、手応えから「ゴールまでもつ」という確信があったのだろう。モレイラ騎手の立ち回りのうまさが、4分の3馬身差という接戦をものにした。

桜花賞1着ステレンボッシュのJ・モレイラ騎手(2024年4月7日撮影)
桜花賞1着ステレンボッシュのJ・モレイラ騎手(2024年4月7日撮影)