エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

   ◇   ◇   ◇

一口クラブでは、大抵ホームページで募集馬の募集時の体高、胸囲、管囲(前脚の太さ)と言った、いわゆる「測尺」と馬体重も公開する。

軽量馬でも活躍する馬はいるが、基本的に馬体重が500キロを超える馬と400キロ以下の馬では、大人と子供の運動会と言った感じさえある。

近年は芝の路面に機械で穴をあけて馬場を柔らかくするエアレーションが取り入れられている。元々パワーが必要なダート馬だけでなく、芝馬でもある程度のパワーが必要で、活躍のためには馬格と馬体重があることの重要性がさらに増していると思う。

ただ、発表されるのはあくまで募集時の馬体重なので、実際にレースで走る際の馬体重がどれぐらいになるのかを考えることが重要である。当初は一口馬主DBのシミュレーションを用いていたが、実際のデビュー馬体重よりかなり大きな数字が出ることも多かったので、今は経験則に基づいて馬体重の測定日と生年月日をベースにした以下の基準を用いている。

まず測定日による加減だが、社台系クラブの一般的測定日である1歳6月前半の場合は募集時馬体重に40キロをプラスする。そして測定日が半月遅くなるごとに40キロから5キロを減じた数字をプラスして行き、測定日が10月上旬の場合はプラスマイナス0になる。そして測定日が10月後半の場合はマイナス5キロ、11月以降の場合はマイナス10キロ均一にしている。

この時期の馬体重は月10キロ程度増加するが、本格的な育成が始まる平均的時期である10月以降は成長分と育成で減る分が相殺され、11月以降では測定からマイナス10キロ程度でデビューを迎えることが多いという経験則に基づく。

次に遅生まれ加算だが、遅生まれの馬ほど募集以降の成長が見込めるので、生まれが3月前半以前は加算なし、3月後半の馬は5キロを加算し、それより遅生まれが半月ごとにさらに5キロを加算し、5月後半生まれの場合は25キロを加算する。

例えば、エフフォーリアは募集時馬体重が489キロ、8月後半測定なのでプラス15キロ、3月10日生まれなので遅生まれ加算はなしで、デビュー時推計馬体重504キロ、実際のデビュー馬体重は516キロとそう遠くない数字だった。

こうして推計したデビュー馬体重が、牡馬とダート血統馬は480から505キロ、牝馬は460から490キロ程度の場合活躍可能性が高いと思う。

そこで牡馬かダート血統で450キロ未満か、牝馬で435キロ未満の軽過ぎると思う馬は基本的に敬遠する。逆に育成遅れや故障のリスクが懸念される、牡馬521キロ以上か、牝馬506キロ以上の重過ぎの馬も敬遠している。

なおこれはあくまで、デビュー時の馬体重がどれぐらいになるかを把握するための推計と、確率に基づく1つの基準に過ぎない。推計と異なる成長をする馬や、馬体重が基準外でも活躍する馬も結構いる。また軽量馬は一般に軽視されて人気がないことも多く獲りやすいので、他の点が良ければリスク承知で出資するのも一つの手だと思う。

グローリーヴェイズはデビュー推定馬体重424キロで、実際は馬体重432キロでデビューしたがその後成長を遂げ、450キロか460キロ台で活躍していた。インディチャンプはデビュー推定馬体重427キロだったが、脚部不安で2歳12月末と遅れたデビュー時には462キロまで成長しており、470キロか480キロ台で活躍していた。

ただ、デビュー馬体重が大体どれくらいになるのかを把握できないままの出資は、バクチ的要素が高くとても危険である。馬体重の軽いダート血統馬をつかんでしまえば、どんなに良血でも活躍する可能性は低いと言わざるを得ない。 

募集時馬体重をきちんと公表しないクラブはリスクが高く、出資のために必要な情報公開が十分なされていないクラブとして、敬遠するのが賢明である。