エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

   ◇   ◇   ◇

今回は歩きの「推進力」を見る。前へ進む力が強く、その力がまっすぐ前方に伝わっている馬ほど速く走れるだろうという考え方である。

多くのクラブが公開している募集馬の映像から、背中の動きを観察する。何頭か見てもらえばわかると思うが、背中の波打ちを大きめに感じる馬と、波打ちが小さいまま前に進んでいる馬のツータイプがいるはずである。

背中の波打ちが大きい馬の方が、瞬発力にもつながってベターだと考える。背中が良くしなっていてバネを感じる動きを特に高評価する。「背中の乗り味が良い」と表現されるように多くの名馬の共通点だと考えている。背中の波打ちが小さい馬はマイナス評価し、ほとんどない馬は様子を見るようにしている。

なお、ピッチ走法でぐんぐん進むイメージのダート血統では、波打ちが多少小さくてもぐんぐん前に進んでいく感じの推進力を兼備した馬も良い。

次に前からの撮影画面で、前脚の蹄(ひづめ)の出方に注目する。前蹄がまっすぐ前方に出ている馬を、前方への推進力に無駄がないと考えてプラス評価している。特に、多少内側へ向けて慎重に脚を前に運べている馬が名馬には多いと思う。

逆に前脚を振り回して歩くような歩き方はあまり良くない。例えば前蹄が外側に向かって弧を描くように出る外弧(がいこ)、内側に向かって弧を描くように出る内弧(ないこ)は、前方への推進力にロスが生じるのでプラスではない。外弧は相当大きくない限り許容範囲としているが、故障のリスクもある内弧には特に注意が必要だと思う。内弧が気になる馬はマイナス評価だし、前脚がぶつかりそうなほど内弧が大きい馬は様子をみるようにしている。

最後に後ろからの撮影画面で、飛節(膝のように見える部位)の出方に注目する。飛節がぶれずにまっすぐ前に出ている馬を、前方への推進力が良い馬として高評価している。飛節がまっすぐ前に出ず斜めに出たり、前に出る時にぶれて見えたりするような馬はマイナスである。期待の良血馬で活躍できなかった馬もいたので、多少までならともかく、ぶれの度合いが大きい馬は様子を見るようにしている。

蹴り脚である後ろ脚のパワーがまっすぐ前に伝わることは、速く走るためには重要な要素であり、この飛節の前への出方は、かなり気をつけて見るようにしている。歩きの観察ではこの点を最も重視すると語る調教師さんもいた。 

2022年度キャロットクラブ募集馬では、レーヴドゥラメール21が背中の波打ちが良く前脚を慎重に前に運べていると感じた。可能な方はご覧いただきたい。

またエフフォーリアも良い推進力を感じた1頭だ。