「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、ラジオNIKKEIで女性初の中央競馬実況アナウンサーとなった藤原菜々花アナウンサー(27)を取り上げる。不断の練習に加え、“反省ブック”を携えて今年3月に実況デビュー。4カ月たった今の心境に迫った。
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爽快感のある声が競馬場に響き渡る。3月3日の中山3R。ラジオNIKKEIの藤原菜々花アナウンサーがマイクを取った。「春を思わせる柔らかな明るい日差しがコースを照らしています」-。ついに、JRAでは初の女性実況アナウンサーが誕生した。藤原アナは「注目度が高いと思わないと言えばうそになります。まだ女性の実況になじみがないと思うので、まずは何のストレスもなく聞いていただけるようになりたいです」と抱負を語る。
15頭立てのデビュー戦は一瞬で終わった。逃げ馬を4番人気メジャーレーベルが差す展開。ゴール直後、上位入線馬の馬名がすぐ出ないなど、悔いが残った。藤原アナは「(今は)聞けないです」と顔を赤らめる。これまで開催日に別部屋での土日24競走の想定実況をはじめ、特訓を重ねてきた。でも、本番は別物だった。努力を知る先輩アナには「練習以上は出ないから頑張って」と心をほぐされたが、気持ちの高ぶりはマイクを伝わっていた。
初陣から4カ月ほどが経ち、30レースほど実況を行った。今、担当するのは1日1、2レース。枠番順に並ぶ勝負服の塗り絵を作成し、各馬の情報を詰め込む作業に各レース1時間ほどを費やす。おぼろげに、なりたい実況アナ像も見えてきた。
「迫力という点で男性の先輩アナと同じ方向を目指すのは、個性として少し違うのかなと感じています。レースの風や、疾走感、爽やかさを出せたらいいなと思うようになりました」
反省と練習の日々。心に決めている。「同じミスは繰り返したくない」、と。“反省ブック”と称した競馬ノートは20年の入社時から10冊以上。競馬の実況用は2冊目に入った。ノートにはレースでの気づき、先輩からの助言が詳細に記されている。「チャンスをいただいている以上、成長していくしかないので」。社内のデスクはメモ書きの付箋だらけだという。競馬開催後、帰宅途中の電車内で音声を何度も聞き返しては、課題を書き足している。
初実況の様子を撮影したYouTubeの再生回数は15日現在で13万回に上る。「ラジオアナウンサーを目指していましたが、実況は想像していませんでした。競馬はスポーツ。馬券を買うことで自分事になって、よりレースに参加している気持ちになれます。1頭を追う楽しさは推し活のよう。いいときも悪いときも応援できるのがいいですよね」。当初は手ぶれ防止の双眼鏡を使っていても、緊張で視界が震えたこともあった。少しずつ、着実に。準備と経験の積み重ねで「実況アナ=男性」のイメージを変えつつある。【松田直樹】
◆藤原菜々花(ふじわら・ななか)1997年(平9)7月3日、神奈川県生まれ。立教大卒。中学生の頃、放送部の顧問に憧れてアナウンサーを志す。20年にラジオNIKKEIに入社し、競馬に初めて触れる。好きな馬はメイケイエール、ソダシ、ナミュール、コントレイル。
(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)






