Z世代の人材育成で大事なのは…? 今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、大阪の太田尚樹記者が「イマドキの師弟関係」に注目した。(1)武者修行のため渡仏する田口貫太騎手(20)&大橋勇樹調教師(63)、(2)重賞初制覇とJRA通算100勝を果たした永島まなみ騎手(21)&高橋康之調教師(51)の師弟2組を取材。教育方針に1つの共通点が見えてきた。
■厳しさと親心 田口貫太騎手&大橋勇樹師
「師匠に恵まれました。大橋厩舎でよかったです」
心から出た言葉に聞こえた。2年目で勝利数18位(31勝)につける技術に加え、礼節や人柄も文句なし。20歳の田口騎手は若手の理想像にも思える。どんな教育を受けてきたのか? 父より3歳年上の師匠について、たずねた。
「普段は本当に優しいですし、競馬になると厳しく教えてくださいます。いい厳しさというか、僕のためを考えてくださっているんだと思います」
では、その大橋師はどんな方針だったのか? 実は厩舎へ受け入れる前の競馬学校2年時に、本人へ伝えたことがある。
「親子と面談して『ウチは厳しいから』とハッキリ言ったよ。『仕事もきっちりやってもらうし、中途半端な気持ちでは困る』と」
その言動から昔かたぎを感じるが、ただ厳しいだけではない。今夏のフランス行きを直訴された際に、内心では「もう何年かしてからの方がいいのでは」とも思ったという。だが、弟子の背中を押すことにした。
「他の騎手から勧められたみたいやし、あちこち行って勉強するのは悪いことではないから」
これぞ“親心”だろう。
■気持ちを尊重 永島まなみ騎手&高橋康之師
JRA通算100勝達成のインタビューに応じる永島騎手をスマートフォンで撮影していたのは、師匠の高橋康師だった。「お母さんに送るんですよ」。父より1歳上の51歳。娘のような存在を預かる上での心構えを聞くと「彼女のやりたいことを応援して寄り添うのが一番。僕は役に立ってないですけどね」と優しい笑顔で答えた。
そんな心遣いに、愛弟子も感謝している。
「先生の考えを押しつけるのではなく、まず『どう思う?』と聞かれます。私の気持ちを尊重してくださっているんだと思います」
◆考察 そう、師弟2組に共通するのは「意思の尊重」だ。教えるべきことは教えつつ、縛りすぎない。田口騎手も永島騎手も素直で明るい愛されキャラ。その性格にもマッチしているのだろう。Z世代すべてにあてはまるわけではないだろうが、僕も後輩と接する上で参考にせねば…。
(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)





