東京競馬場に国際厩舎ができたと聞きました。

これまで外国馬が日本へ遠征する際は、施設のある競馬学校(千葉県白井市)などで7日間の輸入検疫を受けてからでないと、各競馬場へ移動できませんでした。今後は香港やドバイのように、直接東京へ入厩することが可能になります。これで日本へ遠征しやすくなったと思いますし、今年のジャパンCへ当初6頭が招待を受諾(17日現在で4頭が出走予定)したのは、その効果もあったのではないでしょうか。

私もいろんな国への遠征を経験しましたが、検疫で思い出に残っているのが、00年のBCスプリントです。開業前の技術調教師として、森厩舎のアグネスワールドに同行させていただきました。チャーチルダウンズ競馬場(米ケンタッキー州)の検疫は大きな体育館のような施設で、別の国から来た1頭も一緒でした。

静かすぎると馬が不安になるので、ラジカセを持って行ってラジオを聞かせていたのですが、ある日、ラジカセがなくなっていました。検疫厩舎には関係者以外は入れません。もしかしたら、その別の国のスタッフが…。一応、聞いてみましたが、言葉もあまり通じず「知らない」と言われました。われわれ日本人がいかにのんきだったか思い知らされました(笑い)。

検疫は受け入れる国によって違うので、期間や方法もさまざまです。欧州では着陸した空港で2~3時間ぐらいのうちに終わってしまいます。日本のような島国の方が厳しい傾向にあると思います。

オーストラリアも大変だと聞きます。デルタブルースとポップロックをメルボルンCへ出走させた06年はまだ楽でしたが、その翌年に馬インフルエンザが流行してからは厳しくなりました。スタッフは検疫厩舎へ出入りするたびにシャワーを浴びなければならず、髪や肌がカサカサになってしまうそうです。

ちなみに、私の牧場では先月から、外国馬…ではありませんが、サラブレッドとミニチュアホースを1頭ずつ新たに受け入れました。計5頭のうち最年長のドリームシグナルが新入りとの間をとりもってくれて、うまくなじんでくれています。私たちも馬にとってより良い環境を整えていきたいと思います。

角居勝彦調教師(19年7月14日撮影)
角居勝彦調教師(19年7月14日撮影)