欧州の2歳G1競走の幕開けとなるフェニックスS(芝1200メートル)が、12日土曜にアイルランドのカラ競馬場でスタートします。

レースには34頭の登録がありましたが、出馬登録を済ませたのは7頭だけ。クールモアとエイダン・オブライエン厩舎から2頭が参戦。自称フットボールエージェントで投資家のキア・ジョラブシアン氏が立ち上げた競馬法人「AMO Racing」と新鋭のエイドリアン・マリー調教師のコンビも2頭を送り出しています。


カラ競馬場のあるキルデア県ではレース前日の金曜夜から雨が降る予報が出されていて、大本命がうわさされたエイダン・オブライエン厩舎のシティオブトロイ(牡2、父ジャスティファイ)は回避しましたが、それでも3頭の重賞勝ち馬が顔をそろえて、見応えのある一戦になりそうです。


エイダン・オブライエン調教師は現在のバリードイル調教場に厩舎を構えて本格的に平地競走に乗り出した98年に管理馬のラヴェリで制して以来、フェニックスSは17度も優勝していて、このG1は勝ってしかるべきもの。シティオブトロイに代わって1番人気(タイ)が予想されるアンクエッチョナブル(牡2、父ウートンバセット)で18度目の優勝を狙っています。


アンクエッチョナブルはカラ競馬場で3戦して3、1、2着。前走のレイルウェイS(芝1200メートル)は先に抜け出して粘るところをブカネロフェルテに短頭差かわされましたが、敗れてなお強しを感じさせるレースぶりでした。

アンクエッチョナブルと人気を分けているのはデビューから3連勝で臨む牝馬のポルタフォーチュナ(牝2、父カラヴァッジオ)です。息子のドナカ・オブライエン師が管理し、前走のG3アルバニーS(芝1200メートル)では、ランフランコ・デットーリ騎手を背にライバルを退けました。父はフェニックスSの勝ち馬で日本に輸入されたカラヴァッジオ。母の父のホーリーローマンエンペラーもフェニックスSの勝ち馬です。

これに続く3番人気が前出のブカネロフェルテ(牡2、父ウートンバセット)です。新興勢力の「AMO Racing」のエース格。キャリアは3戦2勝で、G2レイルウェイS(芝1200メートル)の勝ち馬。唯一の敗戦はG2コヴェントリーS(芝1200メートル)の3着です。全兄のウーデッドは不良馬場で行われたG1アベイドロンシャン賞(芝1000メートル)に勝っていて、道悪もこなしそうです。


コヴェントリーSは4着でしたが、こちらも3戦2勝のギブミーザビートボーイズ(牡2、父バングルインザジャングル)も争覇圏に含まれています。デビューから2戦目にG3マーブルヒルS(芝1200メートル)に優勝。その後に上場されたロンドンセールで110万ポンド(約2億円)で現オーナーにトレードされました。父はエクシードアンドエクセルの直子で、短距離重賞に2勝。あまり目立たない種牡馬でしたが、産駒のウィンターパワーが一昨年のGナンソープS(芝1000メートル)を制して、一躍脚光を浴びました。この馬もバリバリのスプリンターでしょう。


来年の英2000ギニーの1番人気に推されているシティオブトロイは仕切り直して9月10日にカラ競馬場で行われるG1ヴィンセントオブライエンナショナルS(芝1400メートル)に向かう模様です。


◆G1フェニックスS カラ競馬場 芝1200メートル


枠(馬番)馬名 調教師  騎手 オッズ

1(7)ブカネロフェルテ A・マリー K・ストット 5・0

2(4)ギブミーザビートボーイズ J・ハリントン S・フォーリー 7・0

3(2)アンクエッチョナブル A・オブライエン R・ムーア 4・5

4(5)ガエナリ D・ディアス G・ライアン 34・0

5(1)ヒズマジェスティ A・オブライエン S・ヘファナン 34・0

6(6)ポルタフォーチュナ J・オブライエン O・マーフィー 4・5

7(3)ローンチ A・マリー G・ハルピン 101

(ターフライター奥野庸介)※競走成績などは8月10日現在。


◆次回更新は8月25日の予定

今週のラッキーカラー“みどり”
今週のラッキーカラー“みどり”