<担当記者のちょっといい話>

ダービーの勝ち方は、ダービー馬が教えてくれる。武豊騎手がダービー6勝目なら、友道康夫調教師(58)は3勝目。調教師では現役単独トップとなった。

初制覇は16年マカヒキ。開業15年目、4度目の挑戦だった。18年にはワグネリアンで2度目の制覇。今年のドウデュースを含め、3頭はいずれも皐月賞敗戦からの巻き返しだった。

「マカヒキで勝った経験があるから、何が何でも1個1個という感じはなくなった。ダービーを勝つにはどうしたらいいか。そういう余裕ができるというか、厩舎として余裕ができる。1個勝つのか、勝っていないのかは大きいと思うよ」

目の前の一戦に一喜一憂することなく、馬の能力を信じてダービーへと歩を進める。過去の経験がノウハウとなり、余裕となり、また好結果を生み出した。

第89回が終わったダービーの長い歴史において、調教師の連覇はない。「まだいないんだよね」。友道師も今回の戦前にそう話していた。ドウデュースがゴール板を先頭で駆け抜けた瞬間から、友道師の3度目となる連覇への挑戦がスタートした。【中央競馬担当=奥田隼人】