【パリ(フランス)2日=奥田隼人】日本競馬界の悲願はまたしてもかなわなかった。過去最多の4頭が参戦した世界最高峰の舞台で、G1・3勝馬タイトルホルダー(牡4、栗田)は11着に敗れた。直前に降り出した雨の中、パリロンシャンでも果敢な逃げで風を切ったが、重い馬場にスピードをそがれて失速した。勝ったのは英国馬アルピニスタ(牝5、M・プレスコット)。日本ダービー馬ドウデュース(牡3、友道)は19着、ステイフーリッシュ(牡7、矢作)は14着、ディープボンド(牡5、大久保)は18着に敗れた。

日本の悲願成就か。そう思われた最後の直線。その半ばでタイトルホルダーの脚が鈍った。勝ち馬アルピニスタをはじめ、追ってきた欧州勢にかわされ、最後は11着。それでも横山和騎手は顔を上げた。

「頑張ってくれました。直前の雨でしんどくなってしまったと思うんですけど、こういった場所に連れてきてくれて、馬にも人にも感謝しています」

発走の15分ほど前からロンシャンには強い雨が降り出した。それでも、20頭立てのちょうど真ん中、10番ゲートから鞍上は迷わずハナに導いた。ぬかるむ馬場にも道中はマイペースを刻み、迎えた直線。手綱は持ったままで手応えは十分に見えたが、オープンストレッチに入ったあたりで失速。一気にのみ込まれた。

これまで多くの日本馬を苦しめてきた欧州特有の重い馬場は、凱旋門賞馬の血を持つタイトルホルダーをも苦しめた。マイペースに見えてもスタミナは確実に削られていた。馬場状態の発表は10段階で7番目に重い「TRES SOUPLE」(日本でいう重馬場の区分)。直前の雨で実際はもっと重かった可能性もある。持久力に富むタイトルでも粘れなかったことが、あらためて凱旋門賞の高く厚い壁を感じさせた。

しかし、まだまだ成長盛りの4歳馬。生産者・岡田スタッドの岡田牧雄代表もレース前から「来年の方が絶対に強くなる」と話していた。この経験、敗戦を糧にタイトルホルダーはもっと強くなる。