<リヤドダートスプリント>◇25日=サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ競馬場◇G3◇ダート1200メートル◇3歳上◇出走9頭◇1着賞金90万ドル(約1億1700万円)
今月末で騎手を引退し、3月から調教師に転身する福永祐一騎手(46)のラスト騎乗は3着に終わった。リメイク(牡4、新谷)と臨んだ一戦。後方から脚を伸ばしたが、米国勢の上位2頭が強かった。ただ、その表情は晴れやかで、充実感もにじんでいた。サウジに出張した“福永番”の日刊スポーツ・藤本真育(まいく)記者が取材ノートを振り返る。
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2人の恩師がいなければ、名手・福永祐一の誕生はなかった。「俺はあんまり人に感謝しているとかは言わない」。昨年の秋、ふとそう言った。「騎手はいい騎乗をすることで信頼を得て、いい馬の騎乗依頼をもらう。技術がなかったら頼まんやろうからね」。自分の技術を研さんし、結果を出すことで名手への道を歩んできた。
だが、感謝してもしきれない人がいる。それが北橋修二元調教師と瀬戸口勉元調教師だった。
「2人がいなかったら、今の自分はない。2人が騎手としての礎をつくってくれた。30歳を過ぎて花開いたのは2人のおかげ。感謝してもしきれない」
ジョッキーはとにかくレース経験が大事。1つのレースでいい勝ち方ができても、次もできる保証はない。キャリアが浅いと、いいパフォーマンスを発揮する確率は下がる。それでも北橋、瀬戸口両師は若い頃から乗せ続けてくれた。
「俺に合わない馬、(技術的に)結果が出せない馬でも乗せ続けてくれた。本当にそれは愛でしかないと思う。人を育てることは大変。自己犠牲がいるし、覚悟もいる。無償の愛だったんだろうね」
最後の栗東での調教日、また東京競馬場での騎乗最終日は、北橋厩舎時代の調教服で登場した。「瀬戸口先生が生きていればね…」と口にしたこともある。1度もやめようと思ったことがない最高の騎手人生。そこには常に感謝の絶えない2人の存在があった。【藤本真育】

