9月12日にJRAの新理事長に就任した吉田正義氏(64)のインタビューの第2回。

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-先日の凱旋門賞では日本馬スルーセブンシーズが4着。フランスではムチ使用の厳格化が進み、ひとつのレースで9回使用した場合は確定前に馬が失格になります。今後、JRAもムチ使用の制限を強めますか

吉田理事長 国際ルールに沿った形でやっていきたいと思っています。来年8月には札幌でアジア競馬会議もあります。世界における日本競馬の位置付けは間違いなく高まっています。しっかり議論して、協調して作っていかないと国際ルールにならないですから。一方で、失格となると、特にJRAの場合は勝馬投票に関わってくる話です。動物の愛護もよくわかりますが、一方で競馬の公正性を害する可能性もあるのではないか、と。

-海外馬券発売が始まった16年秋以降も日本馬の世界的な活躍はめざましいものがあります

吉田理事長 私の考えですが、競走馬というのは世界のどこで走っても構わないものです。私は海外に向けて大谷翔平選手のように打って出ていくことは大歓迎です。ですが、それは行かれる人たちの考えでやるべき。かつて出していた海外遠征の支援補助金は日本馬が強くなって、海外に認知されてきたことで、各国の主催者が日本馬を誘致するような状況となり、その役割は小さくなっていると思います。

海外は香港にしてもどこにしても、主催者は自国の有力馬を自分のところで走らせたいために一生懸命やっているわけです。例えばイクイノックスはこの秋、天皇賞・秋とジャパンCを走ると聞いていますが、イクイノックスが海外で走るよりも目の前で走るのを見たいと考えるのがほとんどの方だと思います。お客さまのことを考えたり、売り上げのことを考えると、やっぱり日本で走ってもらいたいと思います。

-近年は海外からの遠征馬が減少傾向です。国際レースへの招待に力を入れていくことになりますか

吉田理事長 世界の一流馬に来てもらいたいなと思います。海外と日本の対戦というのは根本的な興味として、見たいですよね。どんな馬で、どんな強さなんだろうとか。ジャパンCができた頃、(G1・16勝馬で82年13着の)ジョンヘンリーが来るのが、すごく楽しみでした。日本のチャンピオンと海外のチャンピオンの対戦、というのを私も生で見たいです。なかなか日本のお客さまが海外に足を運んで、というのは時間的にもいろいろ大変です。何回も言いますが、大谷翔平選手のように海外に行って活躍するのは、世界的なスポーツですから大変いいことだと思います。われわれとしては国内で素晴らしいレースを見ていただく場を提供し続けていきたいですね。(おわり)【取材・構成=松田直樹、高木一成】

◆吉田正義(よしだ・まさよし)1958年(昭33)11月17日、群馬県生まれ。高崎高校、早大第1文学部卒業後、83年に日本中央競馬会に入会。総合企画部経営企画室長、中京競馬場長、競走部長などを歴任。16年に理事に就任。21年から常務理事、今年3月1日から副理事長を務めていた。